2010年10月 7日
out to lunch vs out for lunch
前々回の「Googleのヒット件数の鵜呑みは危険」を書くきっかけとなった方、いまだに「out for lunch はノンスタンダード」だとする見方にご納得いただけないようで、困っています。なんと出版社宛に、10月9日(土曜)までに根拠を示せと妙に強硬なメールを送ってきたとのこと。
出版社にとっても私にとっても大事なお客様ですし、何と言っても、土曜日までに回答せよという最後通牒。 改めて、「out for lunch がノンスタンダード、つまり not average or usual であり、out to lunchの方がメジャーなのではないか」という問題意識に立って調べて見ました。結果は、やはり以下のとおり、out to lunch 派の方が優勢です。
1) Oxford Collocations Dictionary for students of English の meal の項には、食事がらみのコロケーションを集めたボックスがありますが、そこでは、be out to lunch を見出しとして立てた上、He's out to lunch with a client. という例文を出しています。仮に be out for lunch も同じぐらいよく使うのであれば、こういう場合は、be out for/to lunch という形で示しているはずです。
2) NTC's English Idioms Dictionary では、out to lunch という見出しを立てた上、語義の1で、eating lunch away from one's place of work だとしてから、I'm sorry, but Sally Jones is out to lunch. May I take a message? と She's been out to lunch for nearly two hours. When will she be back? という例文を出しています。
3) 組合わさる動詞がBE動詞ではなく、take の例になりますが、Longman Advanced American Dictionary の lunch の項では、She came last week and took my parents out to lunch (=paid for their lunch at a restaurant). という例文が載っており、さらに、goとの組み合わせでは、 What time are we going to go to lunch (=go somewhere to eat lunch)? といいう例が載っています。いずれにおいても、for lunch という形式ではありません。なお、OALDの5版は、go for/to lunch と、いずれもありうることを示しています。
4) これも go との組み合わせになりますが、Collins COBUILD Advanced Dictionary of American English で lunchを引くと、Word Partnership というボックスで、行き先を含めて言うときは、 go somewhere for lunch だけれど、そうでないときは、go to lunch であることが示されています。
5)英語版の Windows Messenger 上、自分が即応できないことを示すときの My Status の選択肢を見ると、 Busy, Be Right Back, Away, On the Phone などと並んで、Out to Lunch が使われていますし、携帯メールやツイッターでの略号を集めたサイトでも、OTL=out to lunchとなっています。Out for lunch も同じぐらい普及しているなら、OFLもあって然るべきですが、実際はそうではありません。
6)アメリカ英語のコーパスで最近 COCA というものがリリースされ、重宝していますが、これで、out to lunch と out for lunch を検索すると、前者のヒット数が218で、後者が73で、out to lunchがおよそ3:1で多数派です。おもしろいことに、話し言葉 (spoken) というフィルターをかけて同じ検索をしてみると、out to lunchが60件で、out for lunchが9件ですから、out to lunchの方がおよそ6倍多く使われていると言えます。
- [雑録]
- Comments (4)
- Trackbacks (0)
Trackbacks
Trackback URL:
Comments
Out lo lunchにそんな意味(頭がどうかしている)があるとはつゆ知りませんでした。
私が「意味が違う」とコメントしたのは、
out to lunch = 外出しているということが言いたい
out for lunch = 昼食で出かけているということが言いたい
というニュアンスの違いがあるということです。「食事に出かけてます」と「食事で出かけてます」ぐらいの違いかと。
「食事に出かけてます」と「食事で出かけてます」、どちらがスタンダードかというのを比較するのは、あまり意味がないと思った次第です。
[返信]
なるほど。たしかに意味的には大差ありませんが、要はどちらが通りがいいか、スタンダードなのかという角度から取り上げています。例えば、例として挙げてくださった、「食事に出かけてます」と「食事で出かけてます」をGoogleで検索してみますと、前者が(い抜き言葉であるためか、意外に少なく)29件であるのに対して、後者はゼロです。
- may
- 2010年10月 8日 14:49
前回の記事も今回も興味深く読ませていただきました。前回の記事は、Googleの検索の仕方で発見がありましたし、今回のものでは、特に(6)の画像検索が面白いと思いました。私もGoogle Fight等でも判断がつかなかった場合、画像検索をしたことがありますが、検索結果に思いのほかすっきりしたのを覚えています。今回の件も、私はとてもすっきりいたしました。お問い合わせの方も、私と同じように今回の記事ですっきり感じていただけるとよいですね。
私は秘書をしているのですが、電話でボスの不在理由を説明するのに「Out for lunch」を使っていたので、前の記事を読んだ直後「Out to lunch」を使おうと電話機にメモを貼りました。ありがとうございました。
[返信]
たしかに、画像検索というのは、分布を視覚化してくれるということなのでしょうが、すっきりしますね。
- kumtin
- 2010年10月 7日 12:22
out to lunch と out for lunch とでは意味が違うので、どちらがスタンダードかという比較はあまり意味がないと思います。
[返信]
out to lunchには、スラングとして「注意散漫だ、気が飛んでいる」、転じて「頭がどうかしている」という意味があり、そのことを指して、「意味が違う」とおっしゃっているものと解されます。しかし、out to lunchの語義の1は、ランチに行っているという意味であり、そのことは文中で引用している NTC's English Idioms Dictionaryの書き方からわかります。また、Barron's の A Dictionary of American Idioms でも、out to lunch を引くと、語義の1として、Gone for the midday meal. とした上で、語義の2として、スラングである inattentive などに言及しています。
加えてスラングとしての out to lunch が普通であるなら、messenger の My Status で昼食で席を外しているという意味で OTL を使うはずもありません。
- may
- 2010年10月 7日 11:25

Googleの検索フィールドに、out toまで入力すると、一番上にlunchと表示されます。一方、out forでは、一番上に表示されるのはdeliveryで、lunchはそれ以下にも表示されません。どちらも言葉としては間違っていないのでしょうが、使用頻度の観点からすれば、out to lunchがもっとも標準的であり、out for lunchは次点といったところですかね。
[返信]
それは気づきませんでした。ありがとうございます。