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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2010年10月20日

talk about sth vs tell about sth

社外から講師を招いてコンピュータの話をしてもらうとして、このことを社員たちに知らせるため、以下のようなメールを書く場合、tell とtalkのいずれが正しいと思いますか。

Mr. John Smith, Senior Research Fellow of the Higher Institute of Computing Sciences, will be [talking? telling?] about the future of computer science.

実は、あるプレゼンの予定の告知で、

I'll tell you about my travel to Hawaii last year.

と、こう書いてあるものに出くわし、考えてしまいました。

まず(趣味の問題ですが)I will より、自分だったら、控えめで、より丁寧な感じが強調される、I would like か、段取りができている行事予定によく使う、I will be ...ing を使うところでしょう。

それより問題は、冒頭の設例で問いかけたとおり、

I'll be telling about... とするか、I'll be talking about...

とするかという点です。

書いた人は有名大学を出て、これまた有名な大学院で研究者として活躍されている方ですから、おそらく、tell somebody about something というパターンがしっかり頭に入っており、特別考えずにそのパターンを応用したのだろうなと感じました。

しかし、ここで、なぜ tell ではなく、talk の方が座りがいいのかを説明せよとなると、けっこう苦しいことに気づきました。典型的誤用例とは言えない証拠に、手許にある Common Mistakes in English, Longman Dictionary of Common Errors、あるいは ABC of Common Grammatical Errors のどれを見ても、取り上げていません。

そこでこれは辞書に立ち返って調べるべきなんだろうなと Longman Advanced American Dictionary で tell と talk の項を引いてみたところ、図星で、答えがありました。

まず、talk の方の語義を見て行くと、語義の4に to give a speech = speak とあります。集まった人の前で「何かの話をする」と言いたいななら、to talk を使えということです。これに対して、tell の方を見ても、こういった give a speech という意味合いはなく、基本的に give information about something という語義の言葉ですから、I'll be telling you about some wonderful places to visit in Hawaii. といった具体的情報の伝達を予告するならともかく、「あれこれと話をする」と言いたいときには馴染まないことがわかります。

というわけで、冒頭の設例に即して考えると、

Mr. Smith will be TELLING about the future of computer science.

だと、the future of computer science はひとまとまりの話のテーマを言っているものでしかなく、具体的事実とは言えませんから、具体的情報の伝達を守備範囲とする tell を使うと違和感があると言えます。

そこで、結論は、

Mr. Smith will be TALKING about the future of computer science.

が一番収まりがいいということになります。

まとめに代えて言えば、to talk about sth と to tell you about sth は、格好だけ見ると、似ているので違いを意識しにくいものの、to talk about sth が、プレゼンや講演などでのように「何かの話をする」という意味であるのに対して、to tell you about sth は、基本的に一対一という状況で、「何かの話をあなたにお伝えする」ということであり、区別して使う必要があるということです。

ところで、引き合いに出した、I'll tell you about my travel to Hawaii last year. という言い方にはもうひとつ問題がありますので、次回は、この点を取り上げたいと思います。


追記:「いちろう」さんが関連記事を書いてらっしゃるので、是非。勉強になります。

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Comments

日向さん、こんにちは。お久しぶりです。いつも本ブログで勉強させていただいています。

英語現場(アメリカ)から見ても、お説の通りですね。Tellは相手との”正対性”ともいうべきものがあり、talkやspeakは”不特定性”があるようです。

これの良い例が、”I told you.”というフレーズがあります。これは、「(正対して)貴方に言いました」と意味合いがあります。これの典型が”That's why I told you(だから言ったでしょ).”と、ややなじる意味合いになります。これは、エントリーに出てくるような、”不特定”な場面では使いませんね。

逆に”Much talker(おしゃべり)”は”正対性”はなく誰かれなく喋りまくる人、”House Speaker Nancy Pelosi(議会の議長Nancy Pelosi)”のSpeakerも”不特定性(大勢の議員を前に仕切る人)”を表しているようですね。

してみると、多数の前でのプレゼンでは、”talk”か”speak”がふさわしいでしょうね。

[返信]

ありがとうございます。正対 vs 不特定という分け方も、直観的にすとんと来ますし、なかなか味がありますね。

いつも大変勉強になります。

トピックの一番最初のワードチョイスの件ですが、speaking はどうでしょうか?
スピーチであれば、話す人はspeaker なので、そのspeakerが話すのであれば動詞は speak の方がいいのでは?というのがアメリカ人の主人の意見です。speaking は一方からの働きかけ、相手には listening を求めているのに対し talking には会話のように back and forth する意味合いがあるとのことです。
私が聞き取った範囲だけなので、うまく表現できず、またどの程度信憑性があるのかは定かではありません。私たち日本人が日本語を使う時に、この時はこの単語、のように自然にインプットされているのが、語学をネイティブと語る上で難しいことではありますが。。

私は留学経験もなく、英語を「言語学」として深く学んだ者でもありませんので、もし、speaking が不適切であれば、その理由もご指摘いただければ幸甚です。

[返信]

speaking も可能です。現に、本文で取り上げた、Longman Dictionary of American English の talkの項では、SYN Speak と表示してあり、give a speech という意味の talk についてはspeakと置き換えられることを示しています。

なお、talking には、give a speech (e.g. Prof. Simmons will talk on the benefits of genetic research.) 以外に、to say things to someone, especially in a conversation (e.g. Let's not talk about this.) や to discuss something with someone, especially an important or serious subject (e.g. We've been talking about getting married.) といった別の語義もあるわけで、ご主人がおっしゃる 「 talking には会話のように back and forth する意味合いがある」というのは、後者の語義を指してのことです。

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