2011年3月11日
couldは駄目で、was able toでなければいけない場面
TVドラマの Bones (Season 5, Episode 3)を見ていたら、主人公の Brennanと、現場から戻って来た助手の Clark との間で、こんな会話がありました。
BRENNAN: Were you able to get some photos of brake rigging?
CLARK: Yeah, I got them. I got the photos, I got the bones, I got bit by God knows what kind of bugs out there.
これを見て、「おお、アメリカ英語でもやっぱりそうなんだ」と思いました。BRENNANが Could you get some photos...ではなく、able to を使って、Were you able to...と言っていたからです。
というのは、イギリス英語の上級者向け文法書には、必ずと言っていいぐらい、「何かができた」という過去の能力の話をする場合、能力を実際に発揮して、「ある時、ある所で、実際に何々することができた」という場合は、could は駄目で、was able to を使い、そうでなく、単に能力があったという話をする場合、つまり「昔はこういうことをすることができたんだよ」と漠然とした話をする場合は、can の過去形である could を使うけれど was able to も可という使い分けのルールが載っているからです。
例えば、「若い頃は何時間でも泳げたものだ」と言いたいなら、I could(または was able to) swim for hours when I was young.です。ここでは、個別具体的な過去の例を取りあげているわけではなく、漠然とした思い出話であり、could を使うのが一般的だけれど、was able toでもいいよということです。
一方、このように「何々することができたものだ」という一般的な話でなく、過去の具体的状況を念頭におきながら、「ある時、ある所で実際に何々することができた」と言いたい場合は、was able to を使わなければなりません。ここでは could は不可です。ですから、「お店は満席だったけれど、幸い席があった」と言いたいなら、The place was packed but fortunately we were able to (NOT could) get a table.になります。
この点、Nigel D. TurtonのABC of Common Grammatical Errors (Macmillan)は、次の二つを典型的な誤用例として挙げています。
(a) I set off at midnight and, by driving non-stop, I could reach Kuala Lumpur by 6 o'clock the following morning.(私は真夜中に出発してから、その後休みなく運転し続けることで、翌朝の6時までにクアラルンプールに着くことができました)
(b) The visit was worthwhile since we could gain first-hand knowledge of how a school operates.(今回の訪問は有意義なものでした。と言いますのも、学校がどう運営されているかを直接、見聞きすることができたからです)
いずれも昔はこういうことができたといった一般的な話ではなく、一定の具体的状況を前提に、能力を発揮して、「ある時、ある所で何々することができた」と言っているケースですから、(a)は I was able to reach とすべきであり、(b) もwe were able to gain に直す必要があります。
ただ、ここでは、いずれも was able to にすべき例だけを挙げているので、うっかり見落としてしまいそうですが、過去の一般的能力の話では、could でなければいけないというのではなく、was able も使えます。どちらかと言えば、みな could を使うということです。
このことを、Side と Wellman の Grammar and Vocabulary for Cambridge Advanced and Proficiency (Longman) は、こう説明しています。(例文は省略します)
For general ability in the past, we use could or was able to. Could is more common.(過去における一般的能力については、could または was able to を使う。could の方がより一般的である)
For a specific event showing success after trying, we use was able to/were able to, managed to or succeeded in, but not could. (過去における具体的な出来事で、しかも、実際に試みて出来たという話の場合は、able to/were able to, managed to または succeeded in を使えるけれど、could は使えない)
ここで注目したいのは、類書と異なり、この本では、was able to を使うべき場面では、managed to/succeed in を使えるとしていることで、いい判別法になります。例えば、Turton が誤用例として挙げている二文にこの二つのフレーズを入れてみるとこうなります。
I set off at midnight and, by driving non-stop, I "managed to" reach Kuala Lumpur by 6 o'clock the following morning.
The visit was worthwhile since we "succeeded in gaining" first-hand knowledge of how a school operates. [注:succeeded in での in は、前置詞なので、この後に動詞を持ってくるときは、ING形にする必要があります]
事実、冒頭の Brennan のセリフも以下のとおり managed to/succeeded in を入れても問題ありません。
Did you manage to get/Did you succeed in getting some photos of brake rigging?
なお、was able to を使うべき場面で could を使ってしまうという間違いは、英語学習者が繰り返し陥る伝統的落とし穴と見えて、1936年が初版というT. J. Fitikides の Common Mistakes in Englishにも次のような形で載っています。(この本はLongmanから復刻版が出ています)
Don't say: Because Laura worked hard she could finish the job in time.
Say: Because Laura worked hard she was able to finish the job in time.
解説には、こうあります。If the meaning is managed to or succeeded in doing, use was able to, and not could.(意味するところが、辛うじて何かをすることができたとか、うまく何々することができたというものである場合は、couldではなく、was able toを使うべし)
まとめに代えて言うと、過去の一般的能力の話のときは could、was able to のいずれも使えるけれど、一般的には could が使われる。過去においてそういった能力を具体的な場面で実際に発揮したのであれば、was able to であり、couldは不可。これを確かめるためには、managed to/succeeded in を入れてみて、うまく収まれば、それは ws able to を使うべき場面だということです。
追記:「過去の具体的状況を念頭に置きながら『何々をすることができた』と言いたい場合は、could ではなく was able to を使え」という原則には例外があり、否定形の場合には当てはまらず、どちらも使えます。ですから、否定形とはいえ、過去の具体的状況で could が使われている例を見て、それが頭に残っていると、原則を知らない人は失敗してしまいます。
例えば、Thomson, Martinet の A Practical English Grammar は、次のような例を挙げています。
He read the message but he couldn't/wasn't able to understand it.
また、Michael Swan の Basic English Usage も次のような例を挙げています。
I managed to find the street, but I couldn't find her house.
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Comments
日向先生、早速のご回答ありがとうございました。
私のコメントの前段についてもう一度書かせて頂きます。今回のご解説は、couldとwas able toという「出来る」の過去形についてのご解説だと思いましたが、Yukoさんのコメントは"She won't be able to show up because of school."という未来形の文章を挙げておられましたので、ご解説とは異なるケースの使い分けでは?ということが気になり、コメントさせて頂いた次第です。
[返信]
そうです。Practical Eng. Usage には、未来や現在完了など、can/couldを使えない場面でableを使うという説明があります。この本、お勧めです。
- Yocco
- 2011年3月20日 01:02
すみません。先程投稿した者ですが、「ABC of Common Grammatical Errors のご紹介」と書いたと思いますが、「was able to を使うべき場面では、managed to/succeed in を使えるという説明のご紹介」のことでした。訂正させて下さい。
- Yocco
- 2011年3月19日 18:01
とても勉強になりました。ありがとうございました。特にCommon Mistakes in Englishのご紹介は役に立ちそうです。
ところで、Yukoさんのコメントのwon't be able toは、今回のご説明とは違うケースですよね。willなどの助動詞が付く場合は、助動詞同士を続けられず、必ずbe able toにするとよく説明されている、そのケースですよね。もし現在形であれば、She cannotでもShe is not able toでも良いのかと思いますが、いかがでしょうか?
[返信]
ごめんなさい。前段のご質問の意味がよくわかりません。
後段の現在形の話はそのとおりです。
- Yocco
- 2011年3月19日 17:41
このcanとbe able toの違いは、決して難しいものではなく、ルールさえ頭に入れれば間違うことはないですが、学校では決して習いませんでした。英語力に自負のある人でも結構間違えているのではないか(知らないのではないか)と思います。
結構致命的なミス、”伝わらない英語”になると思うので、学校でも習うようにしてほしいと思いました。
私は、アメリカ赴任時に独力で気付きましたが、気付いたときは晴天の霹靂のような気持ちで、何で教えてくれなかったんだろう、簡単なことなのに、と思いました。
こういう(今のところ)”学校では習わないけれど、必要な文法ルール”をまとめたコラムがあると非常にあり難いです。
それをそのまま教科書に載せる必要があるくらいだと思います。
[返信]
同感です。結局、今の教科書は実際に英語を使うということを全然意識していないのでしょう。
実際の英語を意識的に勉強したいとなると、Exploring Grammar in Contextとか Practical English Usageを使うということになりそうです。なぜか、この手の学習者向けはみな、イギリスの出版社ですね。
- ss
- 2011年3月18日 16:24
初めてコメント致します。
いつも勉強の参考にさせて頂いております。
先日、カンパニーミーティングのアナウンスの際の
Store Manager からの返信に
"She won't be able to show up because of school."
とあり、彼はどうやってbe able toとcanを使い分けているのだろうと疑問意思っておりましたが
今回の記事を拝見して、やっとわかりました。
抜群のタイミングでの記事でしたので
ついコメントしてしまいました。
これからも楽しく拝見させていただきます。
[返信]
これからの時代、ますますYukoさんのように勉強したことと実体験を結びつけることができるようになるわけで、楽しみですね。
- Yuko
- 2011年3月14日 01:40

過去にできたことは単に動詞を過去形にすることで表現することができるのではないでしょうか?
例えば、「彼は解決策を見つけることができた。」とは普通は「彼は解決策をみつけた=he found a solution」と考えれば事足りるのではないでしょうか?
確かに考えようによっては、「彼は解決策を見つけることができた。」=「彼は解決策を見つけることができる能力があった(しかし見つけなかった)」と考えることもできますが、普通はそう考えません。
過去の「できた」は過去形で間に合うと思うのですが、イカ科でしょうか?
[返信]
ただの過去形は、a solution was foundという事実しか伝えることができません。いわばsubjectだけの世界です。助動詞を加えることで、初めて、そのsubjectと話し手/書き手がどういう関係にあるか(疑問文ならsubjectと聞き手/読み手との関係)という情報を加えることができ、この点にこそ助動詞を使うメリットがあります。
過去形で間に合わせることはできますが、コミュニケーションという目で見ると、不完全なもので終わってしまいます。たいていの場合、われわれは事実の伝達だけで済ませてはいないからです。