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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2011年6月 7日

ワイングラスの持ち方 2011年版

この「ワイングラスの持ち方」という記事のオリジナルは2005年に書いたものですが、アクセス解析を見ていると、毎日必ず一定数のヒットがあります。多くの人の問題意識に応えたかのようでうれしいことですが、ふとオバマ大統領はどうなんだろう、フランスのサルコジ大統領、さらにわが国の代表者、管総理はどうなんだろうと調べる気になり、フォーマルな場面で乾杯している写真を探し、掲載しました。その途上で北朝鮮のあの方の写真も見つけたので足しておきました。

改めてこういった写真を眺めると、つくづく One picture is worth a thousand words. とはよく言ったものだと感じます。

なお、この種の話はどういうものか思い込みの強い方からのコメントが多く、そうですかとしか答えようのないことが多いので、恐縮ですが、今回に限りコメント欄は閉じてあります。悪しからずご了承ください。

わが国は昔から、外国のものを取り込んでは適宜修正し、自分たちに合うようにしてきました。このように、自分に合わせるという姿勢を貫いてきたおかげで、首から下は和服なのに、頭の上にはパナマ帽といった木に竹を接いだような格好が定着せずに済んでいます。しかし、時には、輸入先ないし本家本元の文化から見ると奇異に映るような結果にもなっているのに、気づかぬまま、それがそのまま受け継がれ、定着することもあるようです。

この点、気になってしかたがないのが、こういうグラスの持ち方です。

まずわが国の管首相はおもしろいことに一貫性がなく、時にボウルの部分を持っているかと思えば、また,時にはステムを持って飲んでいます。自信に裏づけられた「自分のやり方」が格別ないことをうかがわせ、興味深いことです。

この写真では、明らかにボウルの部分を持っています。

Kanbowl.jpg

出所はhttp://www.tribuneindia.com/2010/20101026/index.htm

ところが、こちらではステム。左右の韓国大統領と中国首相がステムを持っているのを見て、あわてて持ち直したのでしょうか。

kanstem.jpg

出所はhttp://oneclick.indiatimes.com/photo/05fmfKW1OnepN?q=India

北方の偉大な指導者殿は完全な「ステム持ち」です。対照的に右側のオルブルイト米国務長官(当時)は普通にグラスを持っています。この方はチェコの外交官のお嬢様にして、ヒラリー・クリントンも卒業生に名を連ねる、あの名門女子大ウェルズリーの出身。そういうバックグラウンドを重ねあわせると、グラスを持つ時も育ちが出るんだろうなと余計なことを考えてしまいます。

Kim_toast.aspx.jpg

出所はhttp://judeopundit.blogspot.com/2009_05_01_archive.html

いずれにしろ、おそらく日本人の9割以上がワインを飲むときは、柄と言うのか脚と言うのか、支柱(ステム)の部分をつまむようにしてグラスを持っているはずです。しかし、ワイングラスは、カップと言うのかボウルと言うのか、ともかく、あの丸みのある部分を持って飲むのがわたしにとっての「フツー」です。

この種の話は論より証拠ですから、オバマ大統領を初めとする各国の元首たちがグラスをどう持っているのかををご覧ください。ちなみにテレビで放映される宮中での晩餐会の様子を見ていればわかりますが、グラスの持ち方はわが国の天皇皇后両陛下も同じです。


obama.jpg

オバマ大統領、しっかりとボウルの部分を持っており、グラスはステムの所を持てというわが国の常識に反しています。わが国の通たちの目には、明らかに「異端」と映ることでしょう。出所はhttp://www.postonpolitics.com/2009/02/floridas-first-lady-scores-a-seat-next-to-obama/

もうひとつ、こちらは、オバマ大統領とバン・キムン国連事務総長。対照的ですね。

Obama%2BAttends%2BLuncheon%2BAt%2BUN%2BUi0sSx-0Qz-l.jpg


出所はhttp://www.zimbio.com/pictures/GY7kyCJA6B5/Obama+Attends+Luncheon+At+UN/Ui0sSx-0Qz-/Ban+Ki+Moon

先代の米大統領も「異端」です。しかも、この方、財閥の御曹司にして、これまたお金持ちのおぼっちゃま達が多いことで有名なイェール大卒です。

そのブッシュ大統領とイタリーのベルルスコーニ首相がブラックタイで正装するような場でしっかりグラスの本体部分をつかんでいる様子を確認できる写真もあります。出所はhttp://www.dailymail.co.uk/news/worldnews/article-1077544/Has-Yo-Blair-replaced-Bumbling-Berlusconi-Bushs-new-BFF.html

Bush_and_Berlusconi_share_toast_%282008-10-13%29.jpg

下の写真はブッシュ大統領、中国の胡錦濤国家主席、そしてサウジアラビアのアブドラ国王(サウジは禁酒国ですから,乾杯だけしてワインには口をつけないということでしょうか・・・)。出所はhttp://aftermathnews.wordpress.com/2008/11/16/financial-meltdown-summit-featured-lavish-dinner-menu-300-bottles-of-wine/

bushtoast.jpg


下の写真は、ちょっと古い写真ですが、当時のレーガン米大統領とエリザベス女王。お二人ともステムを持たず、普通に本体部分を持っていることを見て取れます。

reagan%26elizabeth.jpg

出所はhttp://www.life.com/image/101568001

次は同じくエリザベス女王がフランスのサルコジ大統領とグラスを片手に談笑している図。出所はhttp://www.telegraph.co.uk/news/features/3637378/State-Banquet-a-feast-for-all-of-the-senses.html

sarkozy.jpg

後ろ姿ではありますが、ワインの国の代表者もこのとおり普通に、いや、全体が隠れてしまうぐらい、がっしりと本体部分に手を回しています。

サルコジ大統領の前任者、シラク第5代大統領もステム持ちではありません。(画像のソースがリンク切れになっています)

chiractoast.jpg

どの写真を見ても、みなさん、ステムの部分ではなく、ボウル状の本体部分をごく自然に持っています。わが国の「専門家」諸氏は、グラスは、正しくはステムの所を持つべしと説いていますが、となると、オバマ大統領からして「異端」ということになってしまいます。しかし、事実は正反対で、国賓を招いての晩餐会という、外交儀礼上、最も格式の高い場での元首たちの振る舞いからわかるとおり、カップ状の本体部分を自然に持つのが実は正統派であり、ステムを持ったりする方が逆に異端なのです。

なお、この記事へのオリジナル版に対するコメントやらメールを通じて、英語圏のサイト解説を引き合いに、多くの方々から批判的ご意見を頂戴しましたが、ひとつ感じるのは、訳知り顔でワイングラスの持ち方を説くような方に限ってなぜかナイフとフォークの使い方を含め、テーブルマナーができていないという事実です。例えば、ステムを持つのが正しいと断言するような人に限ってナイフとフォーク、それとナプキンの使い方が無手勝流だったりします。

それともう一つ個人的に感じるのは、欧米社会では、高級なグラスで、いいワインを日常的に飲む人々と、そうでない人々、端的に言えば上と下とではグラスの持ち方からして違っているという事実に対する認識不足です。ですから、どこどこのサイトではステムを持つべしと言っているではないかとする方々に対しては、私としてはこうとしか答えようがありません。

How common!