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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2011年8月 5日

現在形と現在進行形の使い分け

現在形か、現在進行形かという問題はわかったようなわからない微妙な世界です。今回は、普通の文法書だけからはなかなか正体がつかみにくい現在進行形をいくつか取り上げてみようと思います。以前にも進行形の勘どころという記事を書いていますが、今回は主として感じよくコミュニケートする上でいかに進行形が大事かという見地から取り上げます。

ポイントの1:現在形との対比で、現在進行形がインフォーマルという例があります。

例えば、「新たな販促キャンペーンにつきお知らせしたく、連絡をさしあげます」という趣旨でメールを出すとして、

I write to inform you about our new sales campaign.

I am writing to inform you about our new sales campaign.

というふうに、現在形、現在進行形の二つの書き方があります。

一般に文法書は、She plays tennis on weekends.のように、現在の状態、現在の反復動作、一般的な事実を伝えるときは現在形を使い、She is playing tennis right now. のように、「今まさに進行中のこと」や I'm learning Arabic. のように、一定期間にわたって繰り返されている動作のときは、現在進行形を使えと言います。

ところが、上の I write to inform...も I am writing to inform...のいずれも、この分類法では説明がつきません。

このことにつき、A Comprehensive Grammar of the English Language は、ここでの inform は、それを言ったり書いたりすることにより、そこで表されている行為がなされるというperformative verbだと説明しています。そして、writing という進行形は、現在形のインフォーマルなバージョンだと言うのです。ですから、ハードコピーを使ったレターに比べて元々インフォーマルな媒体であるEメールの場合、当然のこととして、たいていは、I'm writing to...という形ばかり見ることになります。逆に言うと、たかがEメールで、I write...などとやると、妙に硬い感じになりますから、避けるべきです。

ポイントの2:上記のとおり、進行形の方が現在形より「軽い、穏やかな感じ」があり、言わば断定をはばかる感じがあるので、自分の言っていることのインパクトを和らげる効果があります。

例えば、相手の提案が非現実的だと指摘する場合に現在形を使って、

Your plan doesn't sound realistic.

という言い方をすると、ずばり事実を指摘している感じがあり、きつい響きがあります。

ところが、進行形を使って、

Well, I'm saying that your plan doesn't sound realistic.

という言い方だと、「ご提案、現実的でないように思える訳で、そのことを申しあげているつもりです」的な、遠慮がちな姿勢をアピールすることができます。会議や交渉の場での言葉遣いの問題としてけっこう大事な点だと思います。

ちなみに、この I'm saying をもっともっと弱くしたければ、Whatを使って、

Well, what I'm saying is that your plan doesn't sound realistic.

という言い方をすることができます。「私に言わせれば」という意味合いの I'm saying と比べて、What I'm saying だと「私の言っていることは」というふうに、何かことを客観視している感じが前面に出るので、その分、「自分の意見」という側面が後退し、控えめなイメージが醸し出されることになります。

このように、現在進行形が現在形に比べていわば「弱い」感じがするのを利用して使われることから、時には、文法の教科書などで進行形ではあまり使わないとされているような、hope や thinkといった動詞が進行形で使われるのを良く見ます。

例えば「どうしてその失敗が起きたのか説明願いたい」と言いたいとして、

I am hoping you can explain the slip up.

の方が、

I hope that you can explain the slip up.

より、当たりがやわらかく、抵抗が少ないと言えます。

同様に、「いい考えだとは思えない」と言いたいとして、セオリーどおり、

I don't think it's a good idea.

などと言うよりは、

I'm sort of thinking that it may not be a good idea.

の方がずっと感じがいいと言えます。

ポイントの3:以上、二つのポイントは、「感じのよさ」の問題ですが、コミュニケーションの上で、的確に自分の言いたいことを伝えるという見地から、おさえておくべき現在形と現在進行形の違いがあります。現在形がかっちりした予定を言うのに対して、現在進行形の方は、今から段取りのできている将来の予定を言うために使う、という区別です。

例えば、来週から新しい仕事に就くような場合、「そういうことになっている」という側面を強調するなら、現在形を使って、

I start my new work next week.

となります。

ところが、既にそのための段取りが出来ている、つまり、現在、段取りが整っているおかげで、将来、そうなるという側面を強調するなら現在進行形を使って、

I'm starting my new work next week.

と言うのが普通です。

ちなみに、この場合、

I'm going to start my new work next week.

との区別が気になるでしょうが、I'm going to という言い方は、「そのつもりだ」という側面を強調した言い方である点、段取りがらみの単純な進行形と区別されます。

いずれにしろ、ING形で将来のことを語るときは普通、next weekその他、将来の時点を表す言葉がセットになっているのが普通であり、ここがひとつの勘どころです。

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