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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2011年9月16日

「不定」冠詞が指すのはみな不特定なのか

前回、indefinite、つまり、不定冠詞の「不定」について、果たして、「不定」ですませちゃっていいのという意味で、問題提起しましたが、今回は、不定冠詞と呼ばれるものの用法に即して、この問題をもう少し詳しく見て行きたいと思います。ついでに、読んでくださる方の a/an についての理解も深まることを期待できます。

★ indefinite な a/an

まず定冠詞との対比で言われる「不定」冠詞の典型的な用法がこれで、例えば、

I saw a cat on the street. The cat looked like an American Shorthair.

という一文での最初の cat は、猫は猫だけれど、聞き手にとっては「どの猫」という認識がなく、その意味で「 definiteではない= indefinite 」ということで a が付きます。

こういう用法では、二度目に出てくるときは、「ああ、あのXか」と聞き手/読み手の方に共通の認識がありますので、definite なものということで、the が付きます。

★ one 代わりの a/an

前項の応用になりますが、元々 a は one から派生したもので、いちおう、a は one で置換えられます。ですから、上の

I saw a cat on the street.

も、

I saw one cat on the street.

という言い方をしても格別おかしくありません。なんでこの人、一匹という点にこだわるのかなという感想を持たれる程度でしょう。

しかし、a と one のどちらも使えるという例は実は限られています。以下で見る通り、数といっしょのとき、分数のとき、金額を表すとき、数量の単位とセットになっているときぐらいです。したがって、a と one は同じだから置換えてもいいと教えるのはどうかと思います。

a or one million

a or one fourth

a or one dollar

a or one kilometer

★ generic な a/an

実はこれが今回の本題ですが、不定冠詞と言うものの、別に「不定」のものを指しているのではなく、その名詞が表しているモノ・コトを抽象的に取り上げるときにも a/an を使います。英語では generic meaning と呼ばれています。

例えば、

A doctor needs to be highly skilled and intelligent. That's why a doctor is required to pass a qualifying examination before he or she can practice medicine.

という一文での最初の doctor は「誰ということはないけれど、ともかく doctor という職種に属する人」のことではなく、医師というひとつのカテゴリーを指しています。決して「不定の」doctor ではないのです。ですから、二度目に出て来るときも、やはり a doctor であって、the doctor にはなりません。

前回の最後の部分で触れた、

Send us a post card.

という一文も同じで、

Send us a post card. Hmm, maybe a post card would be better. Yes, a postcard is best.

と何度 post card に言及しても、すべて a post card です。

「不定の X なら a/an を付け、特定の X なら the を付ける」という理屈は、indefinite な a/an について言う話であって、generic な a/an については当てはまらないのです。

このあたりをきちんと意識しておかないと、ただでさえわかりにくい不定冠詞の用法がますますわからなくなってしまいます。

★ まとめ

ひとくちに「不定」冠詞とは言っても、実は、I saw a cat. のように、「どれとは言わないけれど、具体的なモノ・コト」を指すために使う場合と、A doctor needs to be highly skilled. のように、ひとつの抽象的カテゴリーを取り上げて言うために使う場合とがあります。そこで、乱暴にひとくくりにして「不定」と称されているものについては、実は相異なる二つのものが入っているということを意識しておく必要があります。誰かが勝手につけた呼び名を額面どおり受け取らない方がいいと言えるのかも知れません。

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Comments

先生こんにちは。ご無沙汰しております。

「即戦力が付くビジネス英単語」の問題を解く際に、冠詞を問われると思わず力が入りますね。完璧は求めないまでも、何とか90%以上の正解を目指すのですが、現状は80%前後です。冠詞習得の道のりはまだまだ長そうです。

お盆休み前に、「理系のための英語論文執筆ガイド」(原田豊太郎著、講談社、ブルーバックス)を購入しました。冠詞について全体の三分の一ほど割いており、著者の冠詞への関心の高さを感じさせます(だからこそ購入したのですが)。

不定冠詞の用法につき、以下の様に3通りに分類しています。

①書き手にとっても読み手にとっても「不特定」な名詞
②書き手にとっては「特定」の名詞だが、読み手にとっては「不特定」な名詞
③カテゴリーを代表する名詞として取り上げる場合

②の場合に、誤って定冠詞を用いるケースが、日本人の科学英文に多くみられるとの指摘が有ります。

ところで前回の記事のI've still got a card my grandfather sent from Kabul.ですが、上の区分でいえば②に該当し、「おじいさんがカブールから何枚かカードを送ってくれたのだが、そのうちの一枚をいまだに持っている」という具合に理解しています。

では、お邪魔しました。

[返信]

②のパターンはそのとおりで、学生を対象にした実験では、9割が、the long cultural history of Japanと余計なtheを入れると報告されています。共通認識があって初めてtheを入れるというルールを学校では教えないからでしょう。


「ところで前回の記事のI've still got a card my grandfather sent from Kabul.ですが、上の区分でいえば②に該当し、」
までは、その理解で正しいものの、何枚か送ってくれたうちの一枚というよりも、「とある」という、I saw a cat. のたぐいと解するのが普通です。例えば、このあと、話を続けるなら、Actually, last year, I spilled some coffee over the post card but I managed to...と行けるからです。

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