2009年11月29日
TITLE:著作権侵害:ETSの提訴例から
前回、 ETS が著作権侵害だとして、SAT(大学入学資格検定試験のようなもので、2部構成の択一テストで200-800のスコアがつきます)の試験対策を売り物にしている Princeton Review を訴えた話をしましたが、この訴訟は結局、1986年に和解で決着しています。これを報じている1987年12月24日付 NYタイムズの記事によると、和解条件は(1)被告が52,000ドルを原告に払う、(2)被告は今後2年間、ETSの客観テストを受けることができず、原告は被告が経営する企業による教材を向こう4年間点検できる、というものです。
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2009年11月24日
TITLE:public domainは「公有」か
よく機密保持契約または、ライセンス契約の機密保持条項には、そこでの機密保持義務が及ばない例として、「その契約上の機密事項が既に一般に知られているとき」というものを挙げます。
例えば、「本件機密事項が次の事由に該当する場合は、ライセンスを受けている当事者の機密保持責任が問われることはない」という趣旨で、典型的には、こんな条文を見ます。
Confidential Information which:
(i) is in the public domain at the time of disclosure or later becomes part of the public domain through no fault of the Licensee以下に該当する本件機密事項。
(i) 開示時に公知であるもの、または、本件ライセンシーの責によらない事由により後日、公知となるもの。
[契約書などでは、定義されているものはキャピタライズされており、それに合わせて和訳も「本件〜」という形にするのが慣行になっています]
問題はここで出てくる public domain です。
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2009年11月19日
TITLE:企業「収益」or「利益」?
企業会計では売上を意味する「収益 = revenues」 と、そこから原価や人件費などの費用を差し引いた数字である「利益 = profits 」とは区別されています。したがって、こういった企業会計の常識を心得ている人は、収益と利益を混同しないよう気をつけるものです。
一方、ややこしいことに、アメリカの経済指標の一つに商務省が企業の「利益」 profits を集計しているものがありますが、その和訳となると「企業利益」だったり、「企業収益」だったりします。
2009年11月10日
TITLE:懐かしのフィリップス曲線
今を時めく勝間和代さんがTwitterでこうつぶやいていたと言うより、ぶちあげていました。
まずは、すべてのリーダーたちが、フィリップス曲線を理解すること。デフレは失業につながります
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2009年10月15日
TITLE:「ググら」ないでとGoogleは言うけれど
一般に Google を使って検索することを「ググる」と言っていますが、商標権者にとっては、自社の商標が動詞として使われることは、少なくとも建前としては、困った慣行です。ですから、Google自身、わざわざGoogle ブランドを第三者が使用する際のガイドラインというものを打ち出し、Googleを動詞として使わないでくれと一般に呼びかけています。
そもそも商標は自社製品と他の製品とを識別するものとしてゴリヤクがあり、だからこそ企業も多額の投資をして商標を考案し、その普及を図る一方で、商標侵害に対してもこれまた多額の費用をかけて排除する努力をしています。そうだというのに、同業者や一般消費者が、「送信する」「転送する」といった動詞と同じように「ググる」などと言ったり書いたりするのを放置すると、大変です。商標の識別力が低下し、ついには他との識別力自体失われてしまい、そうとなれば、法的保護を与える理由がなくなる結果、商標権など主張できなくなります。企業にとっては死活問題です。
ですから、Google 自身が出しているガイドラインを初めとして一般に知られている商標を使って仕事をしている企業はどこも自社の商標を動詞として使ってくれるなと釘を指すのを忘れません。Xerox も、自社の会社概要に、The Xerox trademark should never be used as a verb. という一文を入れています。特に Xerox の場合は、Xerox を動詞として使っている例を出版物などで見つけるつど、やめてくれと申し入れる一方で、今では伝説的なものになっている以下のようなコピーで広告まで打ったことで有名です。
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2008年11月19日
TITLE:金利スワップ、通貨スワップの世界
けさの朝日新聞が一面で駒沢大学が「金利スワップ」と「通貨スワップ」で154億円の運用損を出し、グラウンドなどを担保に銀行から融資を受ける羽目に陥っていると報じています。
この「金利スワップ」と「通貨スワップ」、自分でも理解するまでに時間のかかった金融商品で、読者の中にも同じような方がいらっしゃるでしょうから、昔作ったメモ(今は金融英語の教材の一部として使っています)をご紹介します。
外資系銀行が客向けに、スワップはこういうものですよ、御社も一つやってみませんか誘うために作る資料をアレンジしたものなので、デリバティブの解説書よりはやさしいのではないでしょうか。
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2008年10月31日
TITLE:Profit vs Gain
英和辞典で "gain" を引くと語義に「利益」が入っています。ある辞典などはご丁寧に a pre-tax gain of $20 million (2,000万ドルの税引前利益)という用例まで示しています。となると、企業の決算報告で見聞きする earnings, income, profit(s) あるいは sales, revenue とどう違うのだろうと誰しも思うことでしょう。
この点、私の理解としては、企業の損益をはじき出す際の第一行に当たる売上高を言うためには revenue または sales が使われ(詳しくは売上高は英語で何と言うのかをご覧ください)、また、最終行にあたる「利益」という意味では、もっぱらearnings, income, profit(s) が使われ(詳しくは利益を表す三つの言い方をご覧ください)、したがって、gain の出番はありません。
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2008年10月29日
TITLE:原価会計と時価会計の善し悪し:基本中の基本に返る
先週号の「週刊朝日」にタイトルは忘れましたが、リーマンブラザースの破綻で一気に深刻化した金融危機の元凶を時価会計だとし、さらには金融工学も同罪だとする一文が載っていました。公認会計士の方の署名記事です。
印象的だったのが、会計700年の歴史での王道は取得原価主義であり、時価会計は最近になって現れた一種のキワモノだとする論旨でした。
昔、金融翻訳をやっていた頃でも、(プロの翻訳者というのも意外とそんなものなのですが)、時価会計がどういうものであり、原価主義とどう違うのか程度の、いわば百科事典的知識の程度で仕事をこなしていたものですが、あるとき急になぜ原価主義が大原則とされているのかが気になり、調べたことがあります。
今回は、そのときの「成果」を振り返り、ついでに時価主義がどういうものかを見ておこうかと思います。
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2008年10月18日
TITLE:大同生命が言うGOING CONCERNはプラスイメージの言葉なのか
人気ブログランキングでご近所のけんじの楽しく英会話!で、大同生命が "GOING CONCERN" という英語を前面に出しているTV広告を取り上げていました。
この going concern がそもそもどういう意味かを考えますと、すなおに英語を読む限り、"going" は、スコッチウィスキーの「ジョニーウォーカー」の有名なコピー "Born 1820—Still Going Strong." (1820年生まれ。まだまだ元気)での going と同じです。そして、こういった場合の going strong は、"continuing vigorously" ということですから、"going" = "continuing"という意味になります。また concern は、an industrial concern(事業会社)とか a family concern (同族会社)と言ったりするときの "concern (=business)" ですから、二つ合わせると、"continuing business" つまり「継続性のある事業」という意味になります。
他面、ビジネス用語としての "going concern" は「継続企業」が定訳になっている会計用語であり、「当面 (for the foreseeable future)、事業として存続し、業務を継続するはずだ」という企業評価あるいは決算報告書作成の前提です。このことを、The Economist Booksのシリーズの一冊、 Pocket Accounting は、こう説明しています。
An important underlying concept in accounting practice. The assumption for most businesses is that they will continue for the foreseeable future. This means that, for most purposes, the break-up or forced sale value of the assets is not relevant.(会計実務の根底にある重要な概念で、ほとんどの企業は当面、存続するということを前提にしている。そこで、たいていの場合、資産評価上、解体価値または売却を余儀なくされた場合の価値を取り上げる意味はない)
具体例としては、上場企業の年次報告などには、一つの定型文として、こういうものが入っていたりします。
Our financial statements have been presented on the basis that we are a going concern, which contemplates the realization of assets and the satisfaction of liabilities in the normal course of business. (当社の財務諸表の報告に当たっては、当社が継続企業であること、すなわち通常の営業活動の過程において資産を換金し、かつ、負債を弁済していく予定であることを前提としている)
しかしながら、少なくともビジネスの世界での実際の使われ方としては、何かネガティブなニュアンスが伴う言葉であり、広告で堂々と自分たちの会社の宣伝をするために使うたぐいの言葉ではないように思えてしかたがありません。と言うのも「ゴーイングコンサーン」と聞くと、まっさきに思い浮かべるのが「ゴーイングコンサーン注記」と呼ばれるものだからです。リンク先の記事、「なぜIT企業には『ゴーイングコンサーン』注記の会社が多いのか」をご覧になればおわかりのとおり、ゴーイングコンサーンが取りざたされるのは(この記事での勝間勝代さんの言葉を借りれば)「経営に黄信号がともっている」ときに他なりません。
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2008年10月10日
TITLE:大和生命は破産?破綻?それとも倒産?
けさ(10月10日)のオンライン版読売新聞のこの記事、「まさか、そんな」とびっくりしました。生保が、しかも報じられているように債務超過の生保が破産となれば、保険会社の場合、債権者の大部分を保険契約者が占めているわけですから、おおごとです。実際、これまで何社か生命保険会社が破綻していますが、破産手続の申請をした例はこれまでなかったはずです。
何であれ、記事の現物をご覧ください。これが今朝の9時27分に読売新聞のサイトに掲載されたもので、親切なことに「破産手続とはなんぞや」に答えてくれる用語解説まで付いていました。

読売系の動画ニュースでも同様で、しかも、ご丁寧に「繰り返しお伝えします。東京千代田区に本社のある生命保険会社の大和生命保険が破産手続の開始を申請しました」と二度も言っていたので、出どころが同じ原稿を読んでいるだけとは言え、やはり動画はより大きなインパクトがあり、印象的でした。

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2008年09月06日
TITLE:資産運用の成否を決める asset allocation
先日、コメントを寄せてくださった la dolce vita さんのブログ記事、「世界全体の成長を信じる」がとても気になっています。いや、気になっているというよりも、感心しています。ご夫婦の資産運用のあり方を公開され、「現金5債券 10 株式 65 不動産 20 」というポートフォリオの資産配分を示しているからです。
以前に 10 年ぐらいアメリカやイギリスの投資顧問会社の翻訳をやっていた関係で、門前の小僧よろしくこの方面については人並み以上に知っているのですが、個人できちんと自分の財産につき、la dolce vita さんたちのようにポートフォリオを組んで運用しているような人にこれまで会ったことがなく、新鮮な感動をおぼえました。
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2007年09月19日
TITLE:執行役 vs 執行役員(ダイジェスト版)
もう二年前のことになりますが、「執行役と執行役員とはどう違うのか」という記事を書いたことがあります。来月、出版予定の法律英語の本にそれをコラムとして盛り込もうとしたところ、字数が多すぎ、コンパクトにする必要が生じました。そこで、ことのついでに英訳例をもうちょっと調べ、以下のようなダイジェスト版を作りましたので、ご紹介します。この程度のことを知っていれば、社会常識と言うか、一般教養としては十分なのかなと思っています。
以下、本文です。
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2007年08月18日
2007年08月17日
TITLE:先端金融商品の命名に見る怪しさ、危うさ
連日報道されるサブプライムローン問題の記事を読んでいると、よく関連金融商品を通じて損失が波及的に拡大するおそれがあるといった書き方をしていますが、金融のことを知っている人は、「ああ、CDOといったクレジット・デリバティブのことだな」とわかるものです。この CDO(債務担保証券と訳されているようです)を初め、考えてみれば、金融商品、特に high finance と言うのか、先端金融商品とされるものの多くは訳のわからない略語ばかりです。
そこで、今回は、こういった不思議な名前を持つ金融商品の主なものを見て行きながら、サブプライム問題の背景にある危険な世界をのぞいてみたいと思います。具体的には住宅ローンがらみの金融商品がどういう仕組みになっているのかを振り返ることで、その命名の由来を見直していきます。お読みになると、証券化商品の柱である RMBS, CMO, そして最先端商品とされる CDO がどういうものかわかり、その危うさも納得できるかと思います。
まずは投資ファンドの名前を二つ見てください。High-Grade Structured Credit Strategies Fund, High-Grade Structured Credit Strategies Enhanced Leverage Fund 。すごいと思いませんか、強そうと言うのか、何だか確実にハイリターンが得られそうな名称です。ところが、二つとも、先頃破綻したヘッジファンドの名前です。有名な証券会社ベアスターンズ傘下だというのに、あとで説明する CDO での資産運用に失敗し、出資していた投資家は大やけどです。名前などあてにならないものです。(ちなみに high grade は安全ないし優良であることを言いたいためで、structured は担保となっている資産のキャッシュフローを投資家の有利になるよう組み替えてあることを強調し、credit は中身が債券であることを示し、enhanced, leveraged は運用資産を担保に借金することで投資元本がかさ上げされており、投資効率が増幅されています、ということです)
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2007年04月26日
TITLE:日本国債格上げのニュース
火曜日の朝日新聞に、割と大きめの記事として、日本国債が格上げされたという話が載っていました。見出しは、「日本国債、初の格上げ S&P『財政再建を評価』」というもので、リードの部分は、「米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は23日、日本の長期国債の信用力を表す格付けを、従来の「AAマイナス」から「AA」に一段階引き上げた。20段階中、上から3番目となる」となっています。
これを読んで思ったのは、一般に格付けは返済能力の高低を表すものであるけれど、先進国の国債の格付けの場合は、むしろ投資環境の良し悪しを示す指標と受け止められているのではないかという点と、記事は、S&Pの格付けしか取りあげていないけれど、格付けの世界はS&Pを含む三社の独占という特殊な世界なので,他の二社の格付けも教えてくれないとバランスが取れないんじゃないのというものでした。
そこでこういったことを念頭に、そもそも格付けとは何であり、日本のAAがどういう意味を持っているのかを考えてみました。また、そもそも格付けは誰が何のためにやっているのかも気になるでしょうから、そのあたりも知っている範囲で触れておきます。
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2006年11月09日
TITLE:JALの中間決算に見る特別利益という日本的なもの
JALが9月中間決算 (results for the half-year ending September) で、なりふりかまわぬ決算対策の末何とか赤字転落を免れ、2年ぶりに黒字転換したことが話題になっています。
11月9日付けの朝日新聞は経済面で大きなスペースを割いてこの件を報じていますが、そこでは大小の見出しがこんな感じで並んでいます。
JAL、株売却で黒字
「信頼失う」危機感強く
ここで言う「益出し」というのは、実際に今回 JAL がやったように利益をふくらますため、保有株その他の資産を売却することで、要するに損益計算書の最終行に来る最終損益ないし純利益の数字を押し上げるための操作ですから、英語では、asset sale to boost the bottom line と言ったりします。あと、ちょっと似ている言葉ですが、最終利益をかさ上げするようなことは、他に profit padding と言ったりもします。いかにもテキトーに厚みをつける感じが出ていて、気に入っています。この表現。
それはともかく、この記事を読んで思ったのは、わが国を代表する企業であるはずなのに、いまだに日本特有の特別利益にすがって、取り繕っているんだということです。国際会計基準が仮に国内でそのまま通用していたら、株の売却益など特別利益として計上すること自体認められないわけで、いわば日本特有の会計基準のおかげで助かっている格好なのです。
そこで、今回は、損益計算書のおさらいを兼ねて、この問題を取りあげてみようと思います。
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2006年10月27日
TITLE:税務署とケンカする国際企業たち:移転価格税制という火種
週刊 AERA(10月30日号)の表紙に「国税庁への大逆襲」とあったので、買ってみて、中をさらに見ると、「国際タックスウォーズ 国税庁への企業大逆襲」とあり、リードの所は「もう泣き寝入りしている場合じゃない。経済のグローバル化に伴う国税当局の巨額の追徴攻勢に対し、企業側の反撃が始まった。国際的な税金の分捕り合戦が背景にはある」となっていました。
ヒト・モノ・カネの移動に際しての障壁が低くなるというグローバリゼーションに加え、多国籍企業がますます多国籍化し、規模が大きくなる一方ですから、今後もこの攻防は過熱する一方でしょう。UNCTADの資料としていろいろなところで引用されているデータによると、1990年代の多国籍企業の数は37,000で、その海外子会社数は175,000。それが2003年時点での多国籍企業数は64,000で、海外子会社の数は870,000社と言います。しかも、こういった多国籍企業グループ内部での取引が世界貿易全体のおよそ6割を占めています。各国税務当局が課税対象としてねらうはずです。企業側も株主から預かっている資金を効率よく運用してリターンを高める使命を負っていますから、おいそれと無駄な税金を払うわけに行きません。
今回は、こういった多国籍企業グループ内部での国際取引にかかる税金をめぐる攻防、具体的には移転価格の話を取りあげたいと思います。
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2006年07月12日
TITLE:(完)字幕の誤訳で学ぶビジネス英語:「ウォール街」から
★ the gates at La Guardia が「空港権」とはこれいかに
Bud が Gordon のプライベート・ジェットの中で、是非、ブルースター航空を買い占めましょうと説得するシーンです。航空会社の場合、組合が経営の足を引っ張るのは周知の事実ですし、燃料費という不確定要因もあり、Gordon はいまいち気乗りがしません。そこで、Bud は、いかにブルースターがいい買い物であるかを強調すべく、この航空会社がラガーディア空港(ニューヨーク)で認められているゲートの専用利用権一つとっても、大きな資産価値があり、場合によってはこれだけでもペイするといったことを言います。
この部分の英語と字幕の訳はこうなっています。
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2006年07月11日
TITLE:(続)字幕の誤訳で学ぶビジネス英語:映画「ウォール街」から
★ 「優良株で30%割引」
「優良株で30%割引」とあったら、普通は、どう受け止めるものでしょうか。「優良株」とある以上は、ひとまず、IBMやマイクロソフトといった優良企業の株を思い浮かべることでしょう。次に、「30%割引」と聞けば、(ありえないことですが)本当なら1株400円のところ、280円に負けてくれるのかなと思いたくなります。字幕だけを見たら、こんなことを考えるのではないでしょうか。
このやりとりは、あこがれの Gordon に会えたところで、Gordon の方から、どう、これはという銘柄はないのと水を向けられたので、Bud がここぞとばかりに推奨銘柄を挙げて売り込もうとする場面で出てきます。
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2006年07月09日
TITLE:字幕の誤訳で学ぶビジネス英語:映画「ウォール街」から
ビジネスがらみの映画をうまく取り込んで「おもしろくて為になる」授業をいつかやってみたいものだと模索を続けています。とりあえず買ってあるDVDは2枚。一つはゲーリー・クーパーも共演している、ダニー・デビートの Other People's Money。もう一つがきょう取り上げる Wall Street。(Boiler Room も候補に入れていましたが、先日、たまたまテレビでやっているのを観たら、お話にならない駄作でした)
この Wall Street は1987年の作ですから、20年前の映画。でも不思議なことにちっとも古臭くありません。監督はオリバー・ストーン、主演はこの作品でアカデミー賞を取ったマイケル・ダグラス。共演と言うのか、ともかく、もう1人の主役がチャーリー・シーンで、父親のマーティン・シーンもいい感じで脇を固めています。字幕の翻訳は戸田奈津子。
ところで普段、映画を観る際は幸い字幕の世話にならずに済んでいますが、教材として使おうとなると、字幕もじっくり読むことになります。それでびっくりしたのが誤訳の多さです。字幕ゆえの字数制限から制約があり、この戸田さんという方が意訳やら「超訳」で有名であることは承知しています。また、20年前の話なので株式関係の用語が普及しておらず、責めるのは酷だとも言えそうです。しかし、用語について言えば、20年前でも日経平均は日経平均と呼ばれており、また、投資信託も誰も「相互信託」などとは呼んでいませんでしたから、それ以前の問題です。
さてストーリーは、証券マンの Bud Fox (チャーリー・シーン。以下、Bud と呼びます)が乗っ取り屋的相場師として財をなしている Gordon Gekko (マイケル・ダグラス。以下 Gordon と呼びます)にあこがれ、取り入り、そしてインサイダー取引の世界に身を沈めていくというのが流れですが、その間に登場するビジネス単語に焦点をあわせて誤訳を拾ってみました。
[台本について: この映画の台本つまり英文のトランスクリピトをご覧になるには三つの方法があります。(1) 映画のスクリプトをそろえているサイトに行き、Wの項に入っている Wall Street のスクリプトを取って来る。(2)DVDの字幕の設定を英語にする。(3)スクリーンプレイ社から出ている「ウォール街」を購入する]
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2006年07月06日
TITLE:(続)内部統制とは何ぞや
★ なぜ内部統制が取りざたされるようになったのか
なぜ内部統制が脚光を浴びているのだろうと思い、Googleやらブログ検索などで調べてみたところ、直接的には、今年の5月から施行されている新会社法がその362条で、大手上場企業の取締役会は、「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」について決定をしなければならない旨定めているからであり、間接的にはこれとのからみで、システム関連でもリスク管理の見地からしかるべき手当が求められているから、ということのようです。
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2006年07月03日
TITLE:内部統制とは何ぞや:新会社法でにわかに脚光浴びるニッチな世界
先日、地下鉄の神谷町駅に近い本屋さんに入ったら、レジ近くの台に「内部統制」がタイトルに入っている本が何冊も平積みになっていて、びっくりしました。内部統制というのは、会社の方針に反して想定外のリスクを負う取引をするといったこともカバーしますが、基本的には使い込みなどの不正を組織的に防ぐためのプロセスであり、したがって、内部統制がきちんとしていれば、報じられているような大学の先生による研究費の詐取と言うのか、流用なども起こりにくいわけですが、それにしても、どうしてこんな地味な分野の本が一斉に出ているんだという思いがしました。
以前にも内部管理とも称される内部統制に触れた記事(「内部管理、ガバナンス、コンプライアンスの三つはどういう関係にあるのか」)を書いたことがありますが、ちょうどいい機会なので、今回は、正面から取りあげ、内部統制とはどういうものであり、なぜ問題なのかを考えてみます。
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2006年07月02日
TITLE:三越 vs 伊勢丹、高島屋の話に学ぶ経営指標
7月1日付け朝日新聞の朝刊に「百貨店の王者」三越を伊勢丹や高島屋と比べた、おもしろい話が載っていました。前例主義といった大企業病を克服しつつあるものの、復活を果たしている伊勢丹などと比べたらまだ10周遅れだそうですが、なるほどねと感心したのが、三越とライバルたちを比較した5角形のレーダーチャート。比較の項目は上から時計まわりに売上高、営業利益、株主資本比率、有利子負債、売上高販管率です。
売上
/ \
売上高販管費率 営業利益
\ /
有利子負債 _ 株主資本比率
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2006年04月15日
TITLE:CompanyとCorporationの違い
和英辞典で「会社」を引けば使いわけの説明もないまま company と corporation が出てきます。しかも、firm という同義語も出てきます。逆に英和辞典から引いてもやはり違いがわかりません。そこで、きょうは、company と corporation の共通点や相違点、それに、日本語での会社関係の言回し、例えば、「企業城下町」を訳すとすれば、どちらを使うのかといった点を見ていきます。
なお、商法上、会社とは営利社団法人を言うといった定義規定があるので、「会社」がこの種の事業組織を指す正式の言い方と言えそうですが、ここでは、この点にこだわらずに行きます。
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2006年04月06日
TITLE:内部管理、ガバナンス、コンプライアンスの三つはどういう関係にあるのか
このところ、金融庁によるJPモルガン信託銀行に対する業務停止命令 (business suspension order) やJPモルガン・チェース銀行に対する業務改善命令 (business improvement order) といった行政処分 (administrative sanction) をめぐる報道で、ガバナンス、コンプライアンス、内部管理といった言葉が飛び交っています。
(注記: 金融庁は検査マニュアルを公開していますが、それを見ると、「内部管理」「内部統制」のいずれも同じような感じで使っています。その一方で、「内部統制(インターナルコントロール)」という書き方もしています。市販の専門書の書名を見ても、内部管理もあれば、内部統制もありで、そろっていません。強いて言えば、会計の専門家は「統制」が好きなようです)
例えば、5日付ロイター電では、金融庁がJPモルガン信託銀行につき、「6カ月間業務停止としたほか、経営管理(ガバナンス)態勢や法令遵守(コンプライアンス)態勢などに関して業務改善を求めた...JPモルガン・チェース銀行東京支店に対しても、法令遵守などの内部管理態勢等に問題があったとして、業務改善命令などの行政処分を行った」と報じています。(親切なことにカッコ書きで意味を説明しているのはいいとして、果たしてガバナンスを「経営管理」と言っていいものだろうかとおおいに疑問です。経営管理と言ったら、普通、business administration ですからね)
また、オンライン版の日経でも、5日付けの記事で、「グループ各社の法令順守をチェックする機能がまひしていたことなども重くみて...グループを横断する法令順守チェック組織も設けていたが専門性の低い人材が多く不正を見抜くことができなかった... 金融庁はこのチェック体制の不備も重視。JPモルガン信託とJPモルガン・チェース銀行に対し、内部管理体制の充実と法令順守体制の強化を求める業務改善命令を出した」とあります。
この一連の報道を見て気づくのは、第一に、以下のとおり、同じものを指しているのに、いくつもの違った言い方、書き方がされていることです。
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2006年04月05日
TITLE:公私混同と Conflicts of Interest
朝日新聞(4月4日付)は、「日本スケート連盟が主催するショートトラックの合宿が、連盟の亀岡寛治理事が経営するスケートリンクでほぼ独占的に行われ、使用料が通常の3割増」と報じ、連盟内部からも「自社への利益誘導だ」という声があがっているぐらいで、フィギュア部門に続いて、スピードスケート部門の幹部まで「公私混同」だと批判しています。
これを読んで、まず思ったのは、英語の世界なら conflicts of interest (「利益相反」が定訳になっています)があるという話だなということです。同時に、公私混同と利益相反とは必ずしも同じではないよなとの思いもしました。あとで説明するとおり、conflicts of interest というのは、自分が他との関係で引き受けている責任と自分個人の利益とが相容れないことを指すわけで、他方、公私混同は、公務に関することと私的なこととの、けじめがない」(三省堂国語辞典)ことですから、公私混同ではあっても利益相反とまでは言えないケースがありうるからです。
例えば、時おり新聞沙汰になる、議員が海外視察などに愛人を同伴したという例などは、費用を自分が負担している限り、公私混同ではあっても、conflicts of interest ではありません。愛人同伴で人生を楽しもうという個人的欲求と、公費を公務のためにだけ使わねばならないという責任とが並び立たないという場面ではないからです。He mixed business with pleasure. という程度の批判で済む問題です。
何であれ、このフレーズは英語の世界では何かとよく出て来るので、今回は、これが元々どういうもので、どういった場面で問題になるのかを見ておきます。
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2006年03月28日
TITLE:ボーダフォン買収劇は他人の褌を借りての大相撲
ソフトバンクによるボーダフォン・ジャパンの買収劇は、2兆円近い数字が躍るわが国史上最大規模のLBOということで新聞あるいは週刊誌で大きく報じられています。もちろん、私もすごいことだと感心はしますが、同時に、やっぱりビジネスは自前のカネではなく、人様のカネでやるものなんだということを再認識させられます。
そこで、今回は、この件で出てくるLBO (leveraged buyout) につき、leveraged の意味合いを中心に、どういうものかをざっと説明し、人様のカネがどう利用されているのかを眺めていきたいと思います。
まず、今回の買収劇の内容をソフトバンクのプレスリリースをもとに簡単にまとめますと、こうです。
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2006年02月02日
TITLE:含み損を英語で言うと:ライブドア株の値下がりでフジテレビが300億円以上の含み損
ライブドア株の値下がりで、フジテレビの保有しているライブドア株の評価額 (market value)が取得時に比べて大幅に低下し、300億円以上の含み損を抱えるに至っているというニュースが流れていますので、きょうは、この含み損の英語での言い方を取りあげます。
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2006年01月26日
TITLE:時価総額をめぐる英語の表現
ライブドアの時価総額が連日低下を続け、しばしばニュースとして報じられていますが、この時価総額、つまりその会社の発行株数に株価をかけたものは、はかないものながら、結構、何か実体があるかのように扱われる不思議な数字です。そこで、きょうは、こうした時価総額なるものがどういうもので、どういうゴリヤクがあるのかなどをからませながら、関連する英語の表現を見て行きます。
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2006年01月14日
TITLE:新聞で学べる為替予約と通貨オプションの実際
為替予約と通貨オプションは輸出企業の多い日本にとって大きな問題であり、例えば日本経済新聞には、「輸出企業の円買い・ドル売り圧力が後退している。ドルで受け取る輸出代金の為替差損を回避するための為替予約(先物のドル売り)をX月分まで済ませようという企業が増えてきたためだ」という記事が載ったりします。こういった場合、たいてい「円安が一段と進むかどうかを見極めようと予約を手控える姿勢が目立ってきた」と企業側が円ドル相場をどう見ているかの予想に触れてから、個別取材の成果を盛り込んで、(7月ぐらいの記事だとして)「ABC社は9月末までの先物予約をほぼ済ませた。さらに通貨オプションを利用し、来年3月分までの予約にも一部着手した」と報じたりします。
しかし、為替予約や通貨オプションが各々どういうものであり、また、違いがどのようなものであるかがわかっていないと、せっかく払った新聞代が活きてきませんから、きょうはそのあたりをざっとまとめてみます。
なお、むずかしい専門書を読んでもわからない為替取引の話もこういった実例に即して自分で考えて行くと、すんなり理解できるケースが多く、経済記事も使い方次第です。
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2006年01月10日
TITLE:国際収支などを理解するのに必要な英語
純輸出といった輸出入統計を含めての国際収支関連の用例をご紹介します。私自身、経済の専門家ではありませんから、むずかしい話ができるはずもなく、ごく常識的なビジネス英語の範囲で用例をご紹介するだけです。安心してください。ただ、この方面の英語を見てもぴんと来ない方もいらっしゃるでしょうから、用例を理解するのに必要な限度での簡単な解説もつけておきます。
また、ただ読まされているのも退屈でしょうから、今回は趣向を変えて、用例の部分を穴埋め問題にしてみました。正解は、末尾に添付します。ひとまず、どのぐらいぱっと思い浮かぶかお試しください。
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2006年01月05日
TITLE:FTAのミニ解説:自由貿易協定とは何か
新聞を読んでいると、自由貿易協定 (FTA = free trade agreement)という言葉をよく目にします。現在、インドを訪問中の麻生外相が日印両国間での FTA 締結を会談でとりあげています。昨年中に調印にこぎつけると見られていたフィリピンとの FTA は、主として看護士、介護士をどの程度、また、どういった条件で日本側が受け入れるかでもめており、最終的な調整が進められています。そして韓国との FTA は交渉がこう着状態に陥っています。このように度合いは違っても着々と FTAの締結は進んでいるのです。そこで、きょうは、このFTAがどういうものかを簡単にまとめてみました。
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2006年01月04日
TITLE:為替取引のミニ解説
為替取引というと、何か金融のプロの世界のような響きがありますが、われわれ一般市民が海外旅行に備えて、銀行の窓口で円とドルを交換してもらうのも立派な為替取引です。今回は、このような為替取引につき、この程度知っていれば、イメージがつかめるのではないかという、メモ的な解説をお届けします。A41枚に収まる記事ですから、ご安心ください。
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2005年12月30日
TITLE:逆イールドカーブの出現:米金融市場をにぎわす長短金利の逆転
アメリカの金融市場を今にぎわしているトピックは逆イールドカーブの出現です。あとで説明するとおり、普通は短期金利より長期金利の方が高いのに、それが5年ぶりに逆転してしまったのです。英語では、inverted yield curveと言います。
経済記事で報じられるイールドカーブは、縦軸に米財務省証券つまり国債の利回り(債券の券面上約束されている利払いの額を債券の買付額、つまり投下資本の額で割って求める流通利回りです)をとり、横軸に満期までの期間を取って、満期が5年までの短期債から、中期債、そして満期が10年の長期債までをプロットして描く曲線です。債券価格は日々変わりますから、それに応じて利回りも変わり、曲線の勾配も変わります。
(注記 経済の教科書などでは、イールドカーブは「利回り曲線」と称されています)
普通、短期債利回りよりは、長期債利回りの方が高いので、曲線は、以下のように、右肩あがりとなります。これが基本で、英語では、upward sloping curve と形容されます。長期債を買うということは、投資家にしてみれば、そこに資金をくぎづけにするわけで、その期間が長いほど、先は読めなくなりますから、その分「リスクプレミアム」を要求するわけで、これに応じて、より高い利回りが要求されるという理屈です。
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2005年12月29日
TITLE:株式交換とは何か -- 自社株と引き換えに他社を呑み込むカラクリ
株式交換という言葉、最近、経済ニュースでよく出てきます。新しいところでは、先日、セブン・イレブン・ヨーカ堂グループが西武・そごうグループを傘下に収めるに当たり、西武・そごうグループの持株会社(要するに親会社)の株式を65.5%持っている野村系の金融会社から買取り、残りは現金と株式交換で買取ると報じられています。古いところでは(と言っても、二、三年前の話ですが)、ソニーによるアイワの子会社化、松下電器による松下寿電子といった系列上場企業の子会社化がいずれも株式交換によっており、その結果、いずれも飲み込まれた方は上場廃止となりました。外国でも昨年だったと思いますが、フランス政府によるKLM救済劇でも、KLMの株主たちがエールフランス主導の持株会社の株式と自分たちの株式とを交換しています。
ところでネットで「株式交換とは」というキーフレーズを使って検索すると、自社株式と引き換えに買収先企業の株主の持株を引き渡してもらうこと、企業買収を果たし、あるいは持株会社を設立する方式だといった説明がいくらでも出てきます。しかし、これでは、そのありがたみがよくわかりません。ある会社が他の会社の事業を取得しようという場合、営業譲渡という方法もありますし、よくニュースに出てくる株式公開買付という方法だって取れるわけですから、よりによってなぜ株式交換なんだろうとみなさん思われることでしょう。そこで、きょうは株式交換をとりあげます。
ただ、何と言っても英語を勉強している人のためのブログですから、英語で何と言うのかを見てから、わが国での株式交換と他の制度との比較、特に他と比べてのメリットをながめていきたいと思います。
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2005年12月22日
TITLE:決済の仕組みを表す英語
普段は意識にのぼらないものの、われわれ一般市民が一番決済制度の恩恵にあずかる場面と言えば、銀行からの送金のときではないでしょうか。送金の仕組みがいちいちどうなっているか考える人は少ないと思いますが、知っておいて損のない、なかなかおもしろい仕組みになっています。
例えば、Aさんが自分の口座があるX銀行から、BさんのY銀行にある口座に当てて振り込む場合、表面的には、そういった振込のつど、Aさんの口座から資金が引き落とされて、Bさんの口座に直接、入金されている感じがします。ところが実際は、X銀行とY銀行とは互いの客同士の送金の総額と受取の総額を午後の一定時刻に見比べて、差し引きでは、こっちより、そっちの方が送金額が多いから、その分だけ、日銀にあるそっちの口座からこっちの口座に振り替えてもらいますよ、と「勝ち負け」で決めていたりします。
日本の銀行はすべて中央銀行である日銀に口座を持っており、そこでの口座間の資金の移動で自分たちの受払の決着をつけているわけで、その前段階の処理を全銀システムという名前の決済システムが担っているのです。
金融関係の翻訳や通訳をやられている方に役立つ雑学程度のはなしですが、今回は、こういった決済の様子を浮き彫りにするような用例を集めてみました。あまり一カ所にまとまって書いてあるようなことではないので、何かの折に役立つこともあると思います。
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2005年12月19日
TITLE:(続)バランスシートを流し読みするための英語
バランスシートの後半をお届けします。前半と同じく、用例を読んでいただければ、そこでのキーワードの意味がわかるように構成してあります。
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2005年12月17日
TITLE:バランスシートを流し読みするための英語
今回は、前回の損益計算書の相棒である、バランスシートの話です。貸借対照表とも呼ばれる、このバランスシートは、損益計算書が年度を通じての収入と支出の様子を表す動画だとすれば、年度末という一定時点での静止画だとされます。その静止画像の中身は、左右一対の表から成っており、左側を見ると、企業が元手をどう運用しているのか、つまり現金として使っているのか、工場その他設備といった長期的に使う有形資産なのか、あるいは子会社株式といった長期的な無形資産なのかがわかるようになっています。右側の方は、その元手をどこから調達しているのか、つまり債権者から借り入れており、したがって、利息を払う必要がある上、返済しなければならない元手なのか、それとも、オーナーからの出資金(プラスその出資金で稼いだ利益の蓄積である自前の資金)であり、したがって、会社解散の日までは返さなくていい元手なのかがわかるようになっています。返す方が liabilities (負債)、解散の日まで返さなくていいのが owner's equity (資本)ということです。
通常、英文のバランスシート上の資産は、大きく current assets (流動資産), fixed assets(固定資産), intangible assets (無形資産)の三つに区分されていますので、この区分けを念頭に置きながら、バランスシートで出てくる用語の意味がわかるような用例を並べていくことにします。
私自身、会計の専門家ではありませんが、これからご紹介する程度のことは知っているので、企業のアニュアルレポートを読んでいるときにバランスシートが出てきても、ざっと流し読みをすることができますし、会計の専門家がこの手の言葉を使いながら企業の財務を説明するような場に臨んでも、まあ話についていくことはできます。
考えてみれば、自分でも会計関係の本はひととおり読みましたが、ここでご紹介する知識はそういった本から得たものより、会計の専門家が親切に説明してくれたものの方が多いような気がします。今さらながら、まさに何とかは「一時の恥」なんだという思いがします。おかしなもので、本では何やらこむずかしく書いてあるようなことでも、一度は苦労して消化した人の口からだと、「要するに…と言っているだけのこと」という感じで説明してもらえるので、どうということもなかったりします。持つべきものは友ならぬ専門家といったところです。
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2005年12月15日
TITLE:損益計算書を流し読みするための英語
企業が営業年度 (fiscal year)あるいは半期 (half year) 、四半期 (quarter) といった計算期間が終わったところで、期間中の収支を株主などに報告するために作成するのが損益計算書です。普通、英語では、income statement と言いますが、イギリス英語だともっぱら profit and loss statement です。この損益計算書は、バランスシート(=貸借対照表)が決算期での、つまり計算期間の末日という一定時点での静止画であるのに対して、期間中の流れを示す動画だと説明されたりします。
何であれ、いったい期間中にどのぐらいのカネを稼いだかを示す第一行の売上または収益から始まって、かかった原価や人件費などの費用を引いて行き、最終行でいくら儲かったのかを示す格好を取るので、第一行に来る売上高または営業収入を指してtop lineと言い、また、最終行に来る純利益はbottom lineと言ったりもします。
こうした損益計算書につき、この程度知っていれば、まあ、あらすじは読めるという用語の意味がわかるよう、用例を並べていきます。バランスシートもそうですが、損益計算書も英語であれ、日本語であれ、基本的な流れは同じです。この程度わかっていれば、日本語の損益計算書もだいたいのことはわかりますから、この手の単語が並んでいるような資料でも余裕をもって読めるはずです。
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2005年12月07日
TITLE:不良債権を「消却」しないでください:不良債権償却の意味と英語での言い方
きょうは、最近でこそ下火になってきたものの、一時は日本の金融システムを揺るがす大問題だった不良債権処理の話です。そもそも不良債権を「処理する」とはどういうことなのかを見てから、この問題を巡っての「ビジネス・ジャパニーズ」としての誤用と英訳する場合の勘違いに触れます。
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2005年11月30日
TITLE:黄金株における黄金伝説:一株一議決権の原則
「黄金株」迷走--投資家保護か企業防衛か、という見出しの記事が11月27日付の朝日新聞に載っていました。経済面の上の方の1/4を占めるような大型記事です。この黄金株というのは、たった1株持っているだけでも株主総会の場で多数派の議案(例えば他社との合併案)を葬り去ることのできる特別な株式を指します。普通なら株主総会は保有株数に基づいての多数決の場ですから、過半数の株式を持っていれば、その保有者の勝ちです。しかし、この黄金株が会社側にあると、発行済株式の過半数を取得した上で、合併案の可決を期して株主総会に相手が乗り込んで来ても、あっさり返り討ちにあってしまうという、超強力な株式です。記事によると、拒否権をもつのと同じことになる黄金株の保有につき、東京証券取引所が実質禁止の方針を打ち出したのに対して、金融庁や経済産業省は基本的に認めてやるべきだとしており、もめているのだそうです。
企業統治(コーポレートガバナンス)の根本にも関わる問題ですので、今回は、黄金株を英語では何と言うのかという点から初めて、なぜもめているのかを見て、最後にことの背景にある株主平等の原則ないしは「一株一議決権の原則」をご説明します。
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2005年11月26日
TITLE:年末調整を英語で説明すると
年末調整のシーズンですので、年末調整がどういうもので、それを英語ではどう説明するのかを見ておくのも一興かなと思い、簡単にまとめてみました。
年末調整に関しては、何しろ給与所得者のおよそ9割がこの制度のおかげで確定申告をせずに済んでいることから、納税者意識が希薄化しているという問題が指摘されているぐらいです。このように、格別意識されることもないまま、いわば自動的に納税額の清算が行われることから、本人もどういうしくみなのかよくわかっていないというのが普通で、外国人に説明を求められたりすると、四苦八苦するものです。また、総務や経理の人が社内で英語のできる人に応援を求めるのも、この手の話です。
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2005年11月22日
TITLE:年度、決算期、年初来、前年比
企業は損益計算をするための区切りとして、連続する12ヶ月を一つの期間として、その間の収益と費用を損益計算書にまとめます。さらに、その期間の末日(あとで説明するとおり「決算期」と言います)を基準時に、会社が資産をどう運用しているのか(現金・預金として持っているのか、在庫品なのか、あるいは工場などの不動産なのか)またその資産をどこから調達しているのか(人様から借り入れているがゆえに、金利を払う義務と返済する義務を負う「負債」なのか、あるいはオーナーの出資金であって、もうかっている限り配当を払うものの、解散まで返済する必要のない「株主資本」なのか)を明らかにするため、貸借対照表ないしバランスシートを作成します。
航海が終わり、帰港できた段階で初めて持ち帰った財宝を出資者間で山分けするような時代は不定期にしか決算ができませんでしたが、今の時代は、このように1年が一つの区切りです。アメリカ企業の場合は、年度末時点での決算に加え、3ヶ月ごとに、つまり四半期が終わるつど、その期の業績 (quarterly earnings) をも発表しており、わが国の企業もこれにならうようになりつつあります。
さて、今回は、この年度を表す基本用語である fiscal year (イギリス英語ではfinancial year) を中心に、決算期、年初来、前年比といった用語をも加え、ちょっとしたポイントをご紹介して行きます。
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2005年11月21日
TITLE:営業利益の正体:EBITやEBITDAも仲間
企業業績を報じる記事によくoperating profitというものが出てきます。通常、「営業利益」と訳されています。売上高 (net sales) から、売上原価 (cost of sales または cost of goods sold)を差し引き、さらに人件費や広告宣伝費を内容とする 販売および一般管理費ないし販管費 (selling, general and administrative expenses)その他営業費用を引いて算出される数字です。
例えば、物販のウォルマートのアニュアルレポーtを見ると、売上高とその他収入を合計した収益 (revenues)から、営業費用 (operating expenses)と販管費 (selling, general and administrative expenses)を差し引いたものが、営業利益 (operating income)として表示されています。ハイテク企業のインテルも同じようなもので、収益から、原価ならびに営業費用(研究開発費や償却費などが入っています)を引いたものが営業利益です。要するにその企業の通常の事業活動からもたらされる利益です。
なお減価償却費は、このように普通は営業費用の中に入っていますが、フォード自動車のように、いったん自動車部門の営業利益を表示してから、別途金融部門の収支の中で表示するというやり方をしている企業もあります。しかし、一般的には上記の営業利益から支払利息などの金融収支を表示し、さらに法人税の項を経て、最終利益ないし純利益 (net income, net profit(s), net earnings)を表示するというのが損益計算書での基本的流れです。
ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、ビジネス英語を勉強し始めた頃迷わされたのが、この営業利益の別称の多さで、きわめつきは、EBIT (=earnings before interest and taxes) またはEBITDAという言い方です。会計の専門家は厳密には営業利益イコールEBIT/EBITDAではないとしているようですが、証券取引の世界では営業利益イコールEBITです。例えば、David L. ScottのWall Street Words (Houghton Mifflin)で operating incomeの項を引くと、最後に、Also called earnings before interest and taxes; operating profitと明記してあるぐらいです。
そこで今回は、operating profitとnet operating profitの違い、さらにoperating profitと大差がないEBIT/EBITDAがやたら取りざたされる背景を取りあげます。
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2005年11月15日
TITLE:資本金が意味するものは … ない!
朝日新聞(11月15日付朝刊)の一面に、「エクソンモービル 資本金500億円→1億円 節税効果1億円超?」という見出しの記事が出ていました。記事は、12月にこうした資本金の引き下げを行う結果、売上が1兆円を超える大企業としてはきわだって少ない資本金になると事実を報じた上、資本金1億円超の企業にかかる外形標準課税(注)の適用を逃れるねらいがあるのではないかと論評しています。やりかたは、自己資本の中の「資本金」(500億円)のうち499億円を「その他資本剰余金」に振り替える一方、資本準備金や利益準備金も減額する、としています。
(注記 外形標準課税というのは、収益から費用を引いた所得に課税する方式であり、従って、所得がなく、赤字の場合は課税されないものと対照的に、赤字でも資本金等の外形をもとに課税するという方式のこと。アメリカでは、corporate activity tax (CAT) として知られています。この他、size-based taxという呼び方もあります。)
資本金が大きいほど立派な会社だという感覚をお持ちの方にとってはとんでもないことでしょう。
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2005年11月10日
TITLE:(続)執行役と執行役員はどう違うのか:委員会等設置会社
きょうは前回登場した執行役員と執行役とがどう違うのかを見てから、執行役の登場のきっかけとなった委員会等設置会社が従来タイプの会社とどう違うのかを見て行きます。
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2005年11月09日
TITLE:執行役と執行役員はどう違うのか:執行役員というソニーの名訳
伝統的な日本型の企業経営のあり方に対する反省から、従来の取締役以外に執行役員というものが登場し、次いで、監査関係の法律の改正に伴って、執行役という役職が登場しています。執行役の置かれる会社の場合は、従来の代表取締役というものがなく、その代わりに代表執行役というものが置かれます。また、この種の会社には監査役がいません。その代わりに監査委員会なるものが設置されます。ややこしいことです。
ところが、ここ10年内の矢継ぎ早の大変化とあって、執行役員と執行役の違い自体、まだ一般に浸透していない感じもありますし、ましてや、それを英語でどう言うのかとなると、もっと縁遠い話という感じがあります。
そこで、きょうは、そもそもどうして執行役員やら執行役というものが登場するに至ったかを、お手本となったアメリカの制度と日本の会社の経営体制とを比べながら説明し、さらに執行役員とはどういうもので、それを英語ではどう言っているのか、さらに、執行役についても同様に、どういったもので、英語では、何と言っているのかを見ていきます。
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2005年11月08日
TITLE:累進課税を英語で説明する:年収が上がるとかえって税金で損をするのか
先進国はどこも所得が高いほど、より高い税率が適用される累進課税方式を取っています。英語ではprogressive taxationです。わが国では所得に対して10%から37%という4段階の区分がある累進課税となっていると言いたいなら、In Japan, income is progressively taxed according to a four-tier scale of 10% to 37%.という言い方ができますし、あるいは、The Japanese tax system uses progressive taxation with tax brackets starting at 10% and rising to 37%.と説明することもできます。
さて、こうした累進課税方式の場合、おおざっぱに言えば、所得が増えると、より高い税金が課されるから、かえって損だと考えている人もいるようです。つまり年収が増えると、その年収がまるごと区分替えされて、より高い税率が適用されるという見方です。果たしてそうなのでしょうか。
現在のわが国の所得税率は
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2005年10月27日
TITLE:発行済株式総数:shares issuedとshares outstandingの違いについて
会社関係の数字でよく「発行済株式総数」というものが出てきますが、これは元はと言えば、shares issued から来ています。ところが、ほぼ同じ意味の言葉に shares outstanding というものがあることから、ちょっとした混乱が生じています。
会社は事業の展開をにらみながら、新たな資金が必要になった場合、取締役会の判断で増資をして新たな株式の発行と引き換えに資金を受け入れますが、いくらでも株式を発行できるわけではなく、定款上定められている発行枠という上限があります。この枠が授権資本と呼ばれるものであり、英語では authorized stock と言います。この枠内で発行されたものが発行済株式で、英語では issued stock です。
ところで、この issued stock には実は二種類あります。一つは、いったん発行され、投資家の世界で売買されている株式(買った後名義書換えをすることで株主となります)で、英語では outstanding stock と呼ばれ、他はいったん発行されるところまでは同じですが、その後、会社が買い戻して社内で管理している株式で、これは treasury stock と言います。
ここで困るのが訳語で、後者は、つまり発行後会社に戻ってきた株式については自己株式(あるいは通称としての「金庫株」)という定訳があるからいいのですが、発行後もずっと社外にある前者については特別これといった訳がありません。強いて言えば、社内にある金庫株と対比されるものですから、「社外株」といったところでしょう。しかし、実際問題として、shares outstanding を「社外株」または「社外に存する株式」と言う人はまずいません。たいていは「発行済株式」としています。この結果、shares issued and outstanding という、よく見るフレーズが登場すると、その和訳がいい加減になってしまうのです。
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2005年10月23日
TITLE:マージンあれこれ:票差、利幅、そして生保のもうけ
普通、日本語で「マージン」と言うと、「利ざや、もうけ、手数料」といったイメージかと思います。例えば、「あの人はすぐマージンをとりたがる」といった言い方にも表れているとおりです。しかし、ビジネス英語でのmarginは、「何かと何かの差」といった感じで使われることが多いことばです。そこで、こういった「差」という視点からmarginがどう使われているかをまとめてみました。
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2005年10月19日
TITLE:楽天が言う共同持株会社とは何か
楽天によるTBS株取得で、事業目的が傘下の子会社株の保有にある「持株会社」なるものが話題になっているので、これを英語でどう言うのか、また、そもそも持株会社なるもののゴリヤクは何なのかを考えてみました。
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2005年10月18日
TITLE:企業価値イコール株主価値に非ず:混同される株主価値と企業価値。物差しもいろいろ。
村上ファンドによる阪神電鉄株の取得やそれに伴う阪神タイガースの上場問題が取りざたされ、あるいは楽天によるTBS株取得が報じられるつど、買い手の方は、企業価値、株主価値の向上を望んでいると報じられます。しかし、企業価値と株主価値は別物なのに、テレビのコメンテーターの話を聞き、報道記事を読んでいても、両者が使い分けられている様子がなく、何だか落ち着かない気持ちになります。
そこで、今回は、まずそれぞれがどういうものを指しているかを見てから、次に両者の関係はどうなのか、つまり株主価値の最大化イコール企業価値の改善なのかという点を見ておこうと思います。
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2005年10月11日
TITLE:日本版LLCとLLP:来年から登場する合同会社と有限責任組合という新顔の事業組織
来年から実質は組合なのに組織そのものに法人格が付与され、会社のように扱われる「合同会社」と、やはり実質は組合なのに、普通の組合と異なり、組合である以上、組合債務を各自が全額弁済しすべきところ、それが組合員の出資額に限定される「有限責任組合」というものが登場します。いずれも欧米で広く使われている共同事業組織で、前者はlimited liability companyを縮めたLLC、後者はlimited liability partnershipを縮めたLLPで通っています。わが国でも、英訳としては、これがそのまま使われることでしょう。
起業、特に仲間意識が強いベンチャーに向いている、使い勝手のいい共同事業組織として、これからよく名前を耳にすることになると思われますが、いずれも会社の性質と組合の性質をあわせ持つ、ヌエ的存在でわかりにくい感じもあります。そこで、まずアメリカでのLLCとLLPがどういうものであるかをざっと見てから、日本の場合につき、それぞれ普通の会社あるいは普通の組合とどう違うのかをざっと見ていこうと思います。
なお、アメリカでも日本でも同じですが、構成員について株主=shareholder/stockholderという言い方をするのは株式会社=corporationのときだけで、LLCのような組合的色彩の強いものについては、その構成員は社員=memberとか、持分権者=interest holderと称されています。パートナーシップつまり組合の構成員は一般にpartnerと呼ばれます。
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2005年10月07日
TITLE:進んで倒産する米大企業の不思議:Chapter 11というお手軽な倒産手続
アメリカの大企業が日本の民事再生法に当たる手続の適用を申請すると、ニュースでは、「チャプター11適用申請」とか、「破産法11条の適用を申請」といった見出しになりますが、アメリカ企業の場合、経営上の選択肢として気軽にこの手続を利用する感じがあり、メディアも比較的冷静に受け止めるのが普通です。
例えば、先月のノースウェウスト航空とデルタ航空のチャプターイレブン適用申請で、アメリカの航空会社大手7社の大半が「倒産」という事態を迎えているのにたいしたニュースにはなっていません。そのせいか、「どこそこがチャプターイレブンだよ」といった話をする人も、せいぜいがリストラやってるんだねという程度の認識で、おしまいです。そこで、今回は、この「有名な」倒産処理ないし会社再建手続のあらましをざっと見ておくことにします。
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2005年10月05日
TITLE:資本と資本金はどう違うのか:資本形成、資本市場、資本調達、自己資本、そして資本金
ひとくちに、「資本」と言っても登場する場面によって、その意味内容は様々です。ある国の経済の話をしているときの資本形成での「資本」と企業の資本の話ををしているときの「資本」とでは中身が違います。また、企業の場合、同じものであるにもかかわらず、資本を運用している側面ではassets(資産)という言い方をする一方で、それを調達サイドから見た場合、つまり、その資産をどこから調達してきているのかという視点で見る場合は、借入資本だの自己資本だのと区別し、あげくのはてには自己資本の中の一項目として「資本金」があるという具合で、ややこしい限りです。今回は、そのあたりを整理し、あわせて英語ではどう言うのかを見ておきます。
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2005年10月04日
TITLE:ヤミ送金の世界:ハワラという名の世界的送金システム
アメリカに納税のための小切手を送ったことがありますが、ドルを買うための手数料つまり為替手数料と送金手数料が5,000円前後かかりました。50ドルということです。ところがこのときの送金額は80ドルです。しかも面倒くさい書類に記入するのに手間ひまかかります。加えて、書類上、記録が残りますし、パスポートまたは免許証を見せなければならない本人確認もあります。(ということは、脱税でためた金といった不正資金の海外送金には使えないということでもあります)
ところが、こういった面倒でコストも高いしくみと対照的に、海外送金の手数料が低く、為替レートもお得で、面倒な手続が不要というしくみが世の中にはあるのです。もちろん、違法です。しかし、外国に不法滞在しながら稼いだ金を故郷に仕送りする人々にとっては不可欠の、まさにライフラインです。後を絶たないのもわかろうというものです。わが国でも折々、地下銀行摘発といった記事が新聞に出たりしますが、大半は中国や韓国への送金で、金額も過去10年で5,000億円ぐらいです。(わが国の地下経済の規模は24兆円、ヤミの金融資産が18兆とされていることからすれば微々たるものです)
これだけなら経済犯罪ですから、直接人々の生命・財産に関わってくることがありません。ところが、このしくみをテロリストたちが利用しているとなると話が違ってきます。
きょうはそんなヤミ送金の世界の話です。
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2005年09月28日
TITLE:不当利得を語る英語:大銀行の小さな不当利得、巨大産業の巨大な不当利得
朝日新聞(9月27日付朝刊)に、不当利得をめぐるおもしろい裁判の記事がありましたので、これを素材に、不当利得がどういうもので、また、英語ではどう表現し、どう使うかを見ておきます。
不当利得というのは、法律上正当とする原因がないのに、他人の財産やサービスにより利得を受け、その結果、その人に損失が生じている場合、利得者は「被害者」に利得を返さなければならないという法律上のルールです。英語ではunjust enrichmentで、justice(正義)に反しているからunjustになるわけです。
この事件は、武蔵製鋼所という会社が東京三菱銀行を通じて決済のために取引先Aに120万円振り込んだところ、誤って別のX社という会社の口座に振り込まれてしまい、結果として、X社が東京三菱銀行に対して預金債権(口座に120万円あるから、それを現金にして引き渡せと銀行に要求できる権利)を取得する格好になったので、東京三菱銀行がもとからX社に対して持っていた貸金債権の弁済に充当して、自行の債権を回収してしまったというものです。相殺してしまったのです。
法律上これを正当化する原因が何らないのに、銀行が武蔵製鋼所という会社の財産をもとに自分たちの債権を回収できたという利得を受け、これにより武蔵製鋼所は120万円損する結果となっているわけで、これを指して、裁判長は、「誤って振り込んだ側の損失によって『棚からぼた餅』的に利得したものだ」とし、これを返還させないようでは不公平だと判示しました。
そもそもPocket Oxford Dictionaryでjusticeを引けば、justness, fairnessと出ているぐらいですから、古来、西欧社会では、公平イコール正義であり、したがって、不公平イコールunjustに決まっています。わが国も明治期に西欧社会の法をもって自国の法とした以上、この理屈は同じです。
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2005年09月23日
TITLE:ビッグマックとスタバで占う為替レート
急激な円高が進んだりすると、財務大臣あたりが、わが国のファンダメンタルズ(GDP、物価上昇率、国際収支など経済の基本環境のこと)に照らして、円の実力と比較して分不相応の評価を受けているから、日銀にドル買い円売りをさせてでも阻止するぞとにおわせたりする事があります。こういった場合、何をもって円の実力とするのかと言えば、抽象的には、ファンダメンタルズに照らして妥当とされる水準であり、具体的には、一つの考え方として購買力平価 (purchasing power parity、略してPPP)というものがあります。
円であれ、ドルであれ、モノ・サービスを買えるからこそ価値があるというところから出発して、アメリカで1ドルで買えるものが日本で100円なら、1ドル100円が適正な水準だと考えるのが、このPPPというアプローチです。結構単純です。長期的にある通貨の買い手と売り手が互いに納得できる相場ということであり、短期的には為替レートはそこから上下に逸脱するだろうが、いずれはそこに収束するのだと説かれます。
★ Big Mac Index
こういった妥当なレートがあるとすれば、当然、現行レートは高すぎるとか安すぎるといった話にもなるわけですが、ここで言う妥当なレートを示すものとしてビッグマック指数なるものが知られています。イギリスの経済誌、The Economistが1980年代に冗談半分でBig Mac Indexを算出して以来、一つの目安として、定着するに至っているのです。あとで触れるトールラテ指数はともかく、このビッグマック指数は、ちょっと経済をかじった人なら、少なくとも聞いたことはあるような指数だと思います。
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2005年09月18日
TITLE:ドル箱商品とマーケティングのはなし:犬あり、牛ありの不思議な世界
ドル箱商品は、ビジネス英語の世界ではcash cowと言います。直訳すれば「現金を生む牛」で、有名なコンサルティング会社、ボストン・コンサルティング・グループの創業者であるブルース・ヘンダースンという人が1970年代にこのcash cowを含む、経営戦略の枠組みを打ち出してから、一気に有名になりました。英語圏のビジネス英語辞典ではだいたいが見出し語として取りあげているぐらいで、それほど有名なことばです。
Cash cow(以下「ドル箱商品」)というのは、例えば、ひところのキャデラックやリンカーンコンチネンタルのように、GMやフォードにとり、コストがかからない割に安定収入をもたらしてくれるような商品を指します。
英語としての使い方ですが、何々is our cash cowとか、何々are used as their cash cowsといった言い方をします。
ドル箱商品ってcash cowって言うんだ程度の話で終わっては、せっかく来てくださった方に申し訳ないので、これがマーケティング戦略 (marketing strategy) の中でどういった扱いを受けるのかをご紹介します。ちなみに戦略と言っても大したことはありません。お読みになればわかるとおり、きわめて常識的な話です。
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2005年09月09日
TITLE:(c)という著作権の表示にはどういう意味があるのか
(c)でおなじみの、著作権を表示するマーク(以下「マルシー」と呼びます)。本の奥付やウェブサイトの下の方に入っているので、よく目にします、著作物として法的な保護が保障されていますという合図です。著作権が成立していますよ、正当な方法での引用ならともかく、自分の著作かのように振る舞ったり、そのまま転載したりすると著作権侵害 (copyright infringement) になりますよ、という著作権者による権利主張ということでもあります。
それでは、このマークを付けないと著作物としての保護が受けられず、著作権侵害があっても文句が言えないのかと言えば、そんなことはありません。その意味ではマルシーはただの惰性というか、慣行で人々が何も考えずに付けているだけという代物です。一般に著作権は登録したり、こうした表示をしなくても、原稿が確定した段階で自動的に発生し、法的保護を受けられるものとなるのです。
そうだというのに、自分で会社を経営しているような人と話をしていても、マルシー記号が付いていないと著作権が認められないと誤解している人が多く、書面にしないと契約は成立しないという誤解と並んで、二大迷信のように思えるぐらいです。
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2005年09月07日
TITLE:エンロン倒産劇であぶり出された特別目的会社というカラクリ
巨大エネルギー企業、エンロンの破綻は、負債総額が500億ドルを超える、史上有数の倒産劇としてわが国でも大きく報じられたので、おぼえてらっしゃる方も多いかと思います。2000年の秋でした。売上げが1000億ドル超という売上げは、当時のランキングで全米第7位、わが国の企業で言えばトヨタ並みです。従業員数はおよそ2万。もとは天然ガスを供給していた地味なエネルギー会社だったのが、エネルギーそのものを市場で取引するビジネスを手がけるようになってから急成長し、巨大企業になったのです。
ただ、その間、社長みずから、うちは"asset lite"だからねと、うそぶいていたぐらいで、手広くやっている割には帳簿上見えている資産額が少なめで、一部アナリストからは、何か裏があるんじゃないのと問題視されてはいました。そうは言っても、特殊なデリバティブを含め、複雑な取引が多かったことから、やっている事業もわかりにくく、謎めいた優良企業だったのです。どう言われようと、着実に急成長していましたから、特別、警戒もされていませんでした。
そんな会社も、ボロが出始めると、次々負債隠しが露見していき、倒産。かわいそうなのは従業員たちでした。仕事がなくなった上、老後に備えての退職年金勘定の運用資金がほとんど自社株に投じられていたので、無価値になってしまいました。もっとひどいのは、業績不振その他の悪評が流れるなか、どんどん自社株が下がっていくというのに、制度上、売却して換金することできなかったので、丸損です。ところが、経営陣は、この間、もともと、後述するからくりを通じて、私腹を肥やしていた上、株価が底に落ちるまでの1年間、せっせと持ち株を売り抜けていました。
わが国の投資家も、エンロンの社債を組み入れて運用していたMMFといった金融商品が元本割れとなりましたから (英語ではsuffer a loss of principalと形容します)、結構大きな影響を受けていました。
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2005年09月06日
TITLE:マネーロンダリング(資金洗浄):それは何か、なぜいけないのか、どう行われるのか
業界関係者が「マネロン」と呼ぶマネーロンダリング=money laundering。ご当局の通達などでは、「資金洗浄」となっていますが、前回取りあげたオフショア法人やタックスヘイブンとは切っても切りはなせない関係にあるので、きょうはマネーロンダリングがどういうもので、なぜ問題か、そしてどうやって行われるのかを見ていきます。
マネーロンダリングのやりかたなどを解説すると何かこういったことを助長しているようにも受け取られてしまいますが、古代ローマ以来If you wish for peace, prepare for war.と言い伝えられているぐらいで、戦争を十分研究しておいてこそ平和というものがありうるわけですから、マネーロンダリングを研究しておかないことには、その防止はおろか、知らずに手を貸すことになりかねません。その意味では、犯罪に巻き込まれないようにするための、現代人の教養の一つです。
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2005年09月05日
TITLE:タックスヘイブンは税金天国なのか
経済記事などで折々目にするタックスヘイブン、英語がそのまま使われています。しかし、英語に関心がある方でも、タックスヘイブンの意味がわかっている方は少数派でしょうし、どの国あるいは地域がタックスヘイブンとして有名かまで言える人となると、もっと少ないことでしょう。そこで、きょうはそのあたりをざっと解説します。
★ タックスヘイブンとは何であって、なぜ問題なのか
タックスヘイブンは、訳す場合は「租税回避地」とされますが、所得税がゼロまたは税金はかかるけれど、税率が先進国に比べてひどく低い国または地域を指します。
音が似ているため、レベルの低い勘違いとしてはタックスヘイブン=tax heaven=税金天国というものも見聞きしますが、英語ではtax havenです。このhavenは、sanctuaryと同じで「難を逃れるために身を寄せる場所」ということであり、先進国の高い税率を逃れて、およそ税金がかからないか、かかっても極端に低い税率の国へと避難する動きを表すべく、tax havenと称されています。
わが国でも有名な例としては、ウィンブルドン5連覇で知られるテニス選手のボルグが世界でも指折りの高税率で知られる自国スェーデンでの納税を嫌がって、モナコに移住したケースがあります(後日談ですが、実はストックホルムの高級マンションに一家で住んでいることが発覚し、税務当局に居住している (have residency)と認定されたことから、裁判で争っていましたが、結局、訴えを取り下げました)
また、2001年に倒産したエネルギー企業のEnronも、巨額の利益があったというのに、何年も連邦法人税を納めずに済ませており、それとのからみでタックスヘイブンを利用した企業の節税策の是非が改めてクローズアップされています。エンロンの場合、ややこしい経理操作の舞台となった関係会社のうち相当数があとで説明するオフショア法人で、その大部分がケイマン諸島法人でしたから、また、あのタックスヘイブンで有名なケイマンかということで、マスコミも大きく報じていました。
こうした個人や企業レベルの不正にタックスヘイブンが利用されることに加え、今や国際正義に反する問題にもなっています。貧困撲滅を目指す国際人道団体として知られるOxfamがまとめた報告によるとタックスヘイブンに流れ、したがった先進諸国の税務当局がとりっぱぐれた金額は少なく見積もっても500億ドルであり、これは、開発途上国向けの援助の額に引き直すと一年分だと言います。http://www.oxfam.org.uk/what_we_do/issues/debt_aid/tax_havens.htm たしか、サブサハラ諸国が先進国からの借款(貸付金)への利子として払う額が年間およそ100億ドルですから、これの5年分です。とんでもない金額です。
結局、構図としては、大企業が税負担を免れ、そのあおりで一般の人の実質的負担が増え、あるいは本来受けられた利益を受け損なっているということで、メディアで大きく取りあげられることの多い問題なのです。もちろん、大企業側は、タックスヘイブンを利用しているおかげで、コストを節減し、いいモノを安くお届けすることが可能になっていると反論しています。
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2005年09月04日
TITLE:企業統治(コーポレートガバナンス)のはなし
新聞に時おり、何々証券あるいは銀行が内部牽制機能が不十分だということで、金融庁から業務改善命令 (business improvement order) を受けたといった記事を見かけますが、典型例で言えば、業務を実際に行う人とその業務を監督する人が同一人だといったケースで、内部牽制ないし相互牽制が不十分だとされます。
有名なところでは、ニューヨークの大和銀行事件があります。トレーダーが実際の売買と取引記録の管理を一人二役でやっていたがために自分の取引による損失が10億ドル規模になるまで10年も隠し続けることができました。やはり10億ドル規模の損失を発生させ、イギリスのベアリング銀行を倒産に追い込んだトレーダーのことを思い出しても、取引記録に関与できないようにしておけば、5年間にわたった隠蔽工作もやりようがなかったわけです。
このことわかるとおり、内部牽制がどうのというのは、われわれが憲法を教わる際、一緒に習った三権分立による均衡と抑制 (checks and balances)を企業に当てはめた話です。同じ役所が法律を作り、それを執行し、争いがあったときは自分で判断するというのでは、でたらめが行われるに決まっています。英語に、このように一人が何役も兼ねることによるよって生ずる不都合を指す言い回しとしてto act as judge, jury and executioner(判事兼陪審員兼死刑執行人として行為する)があることから言えば、歴史上繰り返されてきたことなのでしょう。
そもそも、なぜこうした内部牽制が企業に求められ、監督庁がいちいちチェックするのか言えば、これがきょうのテーマとして取りあげようと思っている企業統治(コーポレートガバナンスとも言います)の一つの表れだからです。具体的には内部牽制は、後述する内部管理 (internal control)にとりなくてはならない仕組みなので重要であり、その内部管理がきちんとしていないようでは企業統治も砂上の楼閣に終わるという意味で、一層重要なのです。
みなさんが働いている会社も、こうした内部牽制がきちんと機能していないと、発言力のある社員あるいは部門が突っ走るのを誰も止められず、最終的には不祥事となって、franchise riskないしはreputational riskとして知られる、企業としての社会的信用を失墜するリスクが現実のものとなってしまうのです。
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2005年08月24日
TITLE:ダウ平均とナスダックなどの株価指数の話
新聞の経済面では毎日かならず「昨日のニューヨーク株式市場のダウ工業株平均の終値は、前日比何ドル高の何万何千ドルだった。ナスダック総合指数は、何ポイント高の2000いくらで引けた」とアメリカの株式市場の様子を伝えていますが、ダウ平均で通っているダウ工業株平均やナスダックの中身が知られていないようなので、きょうはこれをとりあげます。
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2005年07月28日
TITLE:(R)とTMの意味の違い:商品名の右肩にある権利主張の世界
★ (R) はRegistered Trademark
商品の出所ないし信用を示すマークである商標の右肩に小さな (R) やTMが付いているのをよく目にすると思いますが、(R) は、一般に日本語では「マルアール」で知られ、英語では"R in a circle"で通っています。
わが国では、正式には「商標登録表示」と称されています。商標の右肩に (R) を付けるほか、Registered Trademarkという表示も見ますし、登録商標という表示もあります。
実は先般、「英語208」という商標を登録したのですが、そのとき弁理士からおそわったのは、このマルアールは、商標法上、何か定めがあるものではないとのことでした。ちょっと意外でした。なるほど商標法の73条をのぞくと、単に「その商標が登録商標である旨の表示を付するように努めなければならない」としているだけで、登録商標の表示にはマルアールを使えとか、かならず登録商標であることを明示せよとはしていません。
他面、登録されてもいない商標なのに、あたかも登録されているかのように、むやみにマルアールを使うと、これは虚偽の表示となり、商標法上は刑事罰まであります。
★ (R) のありがたみ
マルアールの根拠ですが、アメリカの場合、明文の規定があります。United States Code(連邦法令集)中の商標法に当たる部分のSection 1111がこう定めているのです。A registrant of a mark registered in the Patent Office, may give notice that his mark is registered by displaying with the mark the words "Registered in U. S. Patent and Trademark Office" or "Reg. U.S. Pat. & Tm. Off." or the letter R enclosed within a circle, thus (R).(特許商標庁に登録してある標章の登録名義人は、その標章と共に、Registered in U. S. Patent and Trademark OfficeもしくはReg. U.S. Pat. & Tm. Off.または円で囲まれたRの字すなわち (R)を表示し、もって、同人の標章が登録済みであることを他に知らせることができる)
(R)が右肩に付くとどういうメリットがあるかについては、米連邦特許商標庁のBasic Facts About Trademarks (http://www.uspto.gov/web/offices/tac/doc/basic/index.html)が次のように説明しています。
→ 登録名義人がその標章の所有者であるという公告がなされたと同様の法的効果があり、無断使用した者が登録商標だったとは知らなかったという言い訳が封じられます。
→ 登録名義人がその標章の所有者であり、かつ、登録されたモノ・サービスにつきその標章をアメリカ合衆国内の全域にわたって排他的に使用できる権利のあることが法律上推定されます(したがって争いとなった場合、商標権者が自分の方で立証する必要はなく、相手が立証の負担を負うことになります)
→ その商標に関する訴えを連邦裁判所で起こす資格が認められます
→ この登録に基づいて外国での登録申請をすることができます
→ この商標が登録されている旨を税関当局に届け出ることで、商標権を侵害する外国産品の輸入を阻止するよう求めることができます
ただ連邦法上の登録商標として認めてもらうためには、複数の州にまたがってその商標が使われてきたという実績があるか、これからそのように使う予定のあることが必要です。また、あとで説明する、慣習法上の商標権が既に一部地域で先に認められているケースでは、いくら連邦法上の登録商標と認められ、マルアールが付されたところで、その商標までは排せないという限界があります。
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2005年07月22日
TITLE:Co LtdとIncの意味の違い
社名の英語表記に入っている Co. Ltd.や Inc. について、ときおり、どう違うのだという質問を受けますので、きょうはその話をさせていただきます。
両方とも、会社が破綻しても、構成員(法律上は「社員」と呼ばれる出資者や株主のこと)は出資額をあきらめれば済み、それ以上の責任は負わなくてもいい会社であることを示していますが、Co. Ltd.はそのことを社員の責任はどうなのだという視点から言っているのに対して、Inc.の方は構成員とは別個独立の法人格を有する会社としての責任という視点から言っているだけの違いです。
会社の株主につき、出資元本 (capital stock) のオーナーという角度から言えば stockholder と呼べるのに対して、出資元本の部分的割合 (share) のオーナーという視点で捉えれば shareholder になるのと同じような話です。
ここでは、まず company と limited の意味を確かめてから Inc.を取りあげます。
なお、これまで尋ねられたことやコメント欄で反省させられたことを全部盛り込んでありますので、われながらごたごたした文章だとは思いますが、まさに雑記帳ですから、読み流していただければ幸いです。
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2005年07月13日
TITLE:債券の額面 par value とは何ぞや
前回は株式の額面の話をしましたが、今回は、債券の額面の話です。
株式と債券の違いが今ひとつピンと来ない方のために補足すると、株式が会社のオーナーとしての地位つまり持ち分だとすれば、債券は貸金の証文と同じで、相手が国だと国債 (government bond)、企業だと社債 (corporate bond)と称されます。
債券の額面 (par value = nominal value = face value)は一般に二つの場面で重要な意味を持ちます。一つは受け取り利息の額をそこから計算できるということで、他は、債券価格の表示に使われるということです。
受け取り利息の計算上、意味があるというのは、表面利率(券面に、この利率でお支払いしますと書いてあるもの)を表示されている額面にかければ、受け取る額がわかるということです。
★ 債券の相場表
額面が債券価格の表示にどう関係するかは、実際の債券相場表 (bond table) を見た方がわかりやすいので、The Wall Street Journalで日々掲載される債券欄を見てみましょう。
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2005年07月12日
TITLE:Par value(額面)とは何ぞや
きょうは、株式や債券について、その1単位がいくらなのかを示す額面 par valueの話です。(なお、このpar valueは他に、nominal valueあるいはface valueとも言います。)
英語が使えてよかったといつも思うのは、日本語の資料だとさっぱり要領を得ないのに、それが英語だとあっさりとわかりやすく説明されているケースが多いことです。選択の幅が広がるからだという側面もありますが、日本語での専門用語の説明はなぜか、サムライ言葉(漢語)がやたら多く、おおげさなのに、英語だとごく普通の言葉で説明されているので、わかりやすいのだと感じています。
例えば、株式の場合の額面がそのいい例です。わが国の場合、平成13年の商法改正で廃止されてしまいましたが、もともとアメリカと日本とでは制度が違いますから、廃止前の日本での額面の説明を読んだところで、アメリカでの額面の意味合いはわかりません。一方、英語としてのpar valueの意味を説明したものを日本語でいくつか読みましたが、これもさっぱりわかりません。
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2005年06月03日
TITLE:有名ブランドの見えざる敵:希薄化をめぐる攻防
有名ブランドを自分だけが使えるという排他的権利 exclusive rightsを有する企業でも、そのブランドがみだりに使われているのを放置していると、ついには一般名詞化してしまい、商標権の効力が及ばなくなります。法律の専門家は、これを商標権の効力が「薄まる」ということで、dilution(日本語の訳としては「希釈化」とか「希薄化」とか言っています)、と言い、また、希薄化のおそれがある状態に陥ることをbe subject to dilutionと表現します。自社の商標が自社商品以外のものまで一般的に指すようになっている状況を権利者自身が放置し、商品と自社との結びつきを強調し続けるのを怠るがゆえに生じる現象ですが、実例としては、リノリウム、ナイロン、ジッパー、セロハン、ヨーヨー、それにアスピリン(ただし、アスピリンは、アメリカでは一般名詞とされてしまったものの、カナダではまだ商標として認められているそうです)などが有名です。逆に希薄化を阻止したことで有名な例としては「味の素」があります。バンドエイドなどは微妙だという意見を聞いたことがあります。
それでは、こういった希薄化ないし希釈化を防ぐため、企業はどういったことを求められているのでしょうか。企業は自社の商標が然るべく使用されているかを見張っていなければならないとされているのですが、何を指して然るべき使用あるいは適正な使用と言えるのかについては、商標保護のための国際的団体であるInternational Trademark Associationがそのウェブサイトhttp://www.inta.orgでガイドラインを示していますので、その一部をご紹介します。私自身が一番おもしろいと思っているのは、名詞や動詞としての使用を許すな、常に形容詞として使われるようにせよというくだりです。
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