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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2008年11月14日

TITLE:英語で「きちんとものが言える」レベルはCEFRのB2

たまたま慶應義塾大学の外部評価委員会の記録というものに目を通していたら、安西塾長が国際化時代に堪える人材の条件につき、「福澤の時代は上下のキャッチアップの時代でしたが、現在はフラットな国際的な競争の場ができており、この第三の開国を支える人材を輩出する必要があります。初対面の外国人のいるラウンドテーブルで単に自己主張するのではなく、きちんとものが言える人間が必要です」と説いているくだりが目にとまりました。

「初対面の外国人のいるラウンドテーブルで単に自己主張するのではなく、きちんとものが言える人間」というのは、要するに暗記してきたようなセリフを吐き出すのでなく、ちゃんと相手と意見交換の上、それを踏まえて「ものが言える」人間のことと解されます。

ここでふと思ったのが、CEFRのレベルで言えば、どれに該当するするのだろうかということです。

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2008年4月17日

TITLE:中級用自己診断テスト(CEF準拠)

英語その他の外国語を勉強している人々にとり、初級、中級、上級の区分はおなじみでしょう。ところが、不思議なもので、どこまでが初級で、どこからが中級なのかという境目、言い換えれば、「初級レベルでは無理だけれど、中級レベルだとできるのは何か」という話になると、意外とあいまいなままで済まされています。

そのいい例がこのクラスはTOEICやTOEFLのスコアで言えば何点以上という形でクラス分けしている例です。このブログのTOEIC関連記事で繰り返ししているとおり、TOEICをはじめとする標準テストは英語で何ができるかを測定しているのではなく、本来、受験仲間と比べてどのぐらいなのかをはじき出し、足切りをするためのテストですから、この種のスコアを基準にした初級・中級・上級の区分は私に言わせればナンセンスです。

この点、2001年に発表されたCEF(欧州評議会が打ち出した「ヨーロッパ共通参照枠」)の運用能力指標はすべて「何々ができるか否か」を判別の基準としており、わかりやすく、また、合理的です。

このCEFで言えば、世に言う「中級」は、Level B1 に当たります。CEFは下から 初級のA1, A2、中級のB1、B2、そして上級のC1、C2に区分されていますが、その物差しで言って、下から三番目のレベルです。

今回は、このB1レベルに達していると言えるかを自己診断できるテストを作ってみました。お試しください。

★ B1レベルとはどういうものか?

CEFのB1は、ケンブリッジ英検で言えば PET (Preliminary English Test) に相当し、通常、このレベルに達するには平均して350時間から400時間の学習時間を要するとされています。IELTSでのスコアに置き換えた場合は 4.0前後とされます。

語彙力で測った場合は、最高レベルのC2での語彙が5,000単語とすれば、この自己診断テストがの基準である B1は、3,000単語レベルとされます(すぐ下のA2は2,500単語レベル、すぐ上のB2レベルは3,500単語です)。また、フランス語ならDELF B1、ドイツ語なら Zertifikat Deutsch (ZD)を取得できるレベルです。

B1レベルのコミュニケーションをこなせる人は、その言葉が使われている外国に行った場合、あるいはその国から来た人に出会った場合に独力で最低限のコミュニケーションができるとされていますが、

他のレベルと比較した際の特色としては二点あります。一つは、やりとりを途切れさせずに何とか続けられ、また、自分の言いたいことを伝えられることで、もう一つは、日常生活の中で出会う場面であれば、臨機応変に対処できることです。

具体的にはこういうことです。

A 会話の流れが途切れないようにすることができ、また、伝えたいと思っていることをうまく言うことができる (able to maintain interaction and get across what you want to)

√ 相手の話し方が明瞭で、しかも標準語である限り、やり取りが長くなっても主要な点をおさえながら話に付いて行くことができる
√ 友達との気楽な会話の中で自分の考えを述べたり、人の意見を尋ねたりすることができる
√ 最も強く言いたいことを相手にわかるよう伝えることができる
√ 簡単な表現を種々使いながら言いたいことは大体言える
√ 会話を続けることはできるが、時おり、言いたいことがうまく言えなくなり、そのために相手も理解するのに苦労するような場面がある
√ 明らかに文法を正確に使おうとし、または、言葉を探して、そうとわかる程度はっきりした間が空いたり、言い換えがあったりはするものの、相手がわからなくて困るといった事態を招かずに話を続けられる
√ 文法上の間違いはあるものの、何を言いたいのかがわからなくなるようなたぐいのものではない。
√ 語彙力は、英語であれば、3,000単語前後で、ときには(語彙力不足から)同じ単語を何度も使う場面はあるものの、家族や趣味、仕事など身のまわりのことを話すために十分な語彙力を備えている。

B 日常生活の中で出会う場面であれば、臨機応変に対処できる (able to cope flexibly with problems in everyday life)

√ 交通機関の利用上、日常的とは言えないような状況が生じても対処できる
√ 旅行会社を通じて旅行の手配をしたり、あるいは実際に旅行をしているときにありがちな場面なら大体は対処できる
√ 身近な話題であれば、わざわざ準備をしなくても会話をこなせる
√ クレームをつけることができる
√ 面接などにおいて新たな話を自分の方から切り出すこともできるが、基本的には相手のイニシアティブにことを委ねる結果となる
√ 相手の言っていることがわからない場合に、不明な点を質したり、もっと詳しく説明してくれと言うことができる

比較のため、すぐ上のB2レベルがどのようなものかをまとめておくと以下のとおりです。(先般発表された小池先生(明海大学)のグループがビジネスマン7,000人アンケートをもとにまとめた調査では、回答者の9割がビジネスで英語を使えるようになるにはB2が一つの目標だとしています)

A 効果的に自説を展開できる (a focus on effective argument)
B 相手にふりまわされることなく、一定時間以上の会話を続けることができる (able to more than hold your own in social discourse)
C 言葉に対する感覚がより鋭い (a new degree of language awareness)(誤解が生じていると認識し次第、自分から間違いを正せる。やりがちな間違いを自分でも気をつけるようにし、話しながらも点検を怠らない。自分で気付く限り、ちょっとした間違いでも訂正するよう努める。話の内容を組立て、かつ、相手との関係を見極めながら、どのようにそれを表現すべきかを予め考えてから口に出す)
D 目立つような文法ミスはあまりない上、あったとしても、誤解を生じさせるほどのものではない
E 語彙力は、英語であれば、3,500単語前後で、自分の専門分野その他一般的な話をするために十分なものがある。同じ単語の反復を避けるため同義語を活用できる程度の語彙力があるが、時にはしかるべき単語を探したり、それが間に合わず同じ言葉を繰り返すようなことがある。

ちなみに、このB2レベルは、高校卒業時点までに母語に加えて外国語を二つ習得することを義務づけているEU諸国において、外国語習得の目標とされているレベルです。


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★ 自己診断テスト

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2008年4月14日

TITLE:超ビギナーのためのレベル判定テスト

前回の初級(CEFのA1)に達しているかの自己診断テストに続き、超ビギナーながら、A1の一歩手前にある人が自分の位置を確認できるテストを作ってみました。このレベルの Can-do statement はアイルランドで移民の英語教育用に開発された言語ポートフォリオ (Milestone ELP) 上の自己査定表を元にしています。

英語で言えば、中学1年レベルですから、「ビジネス英語雑記帳」の読者の方は大体クリアしているはずで、むしろ他の言語を勉強している方に役立ちそうです。例えば、自分の中国語のレベルをこれで測ると、まだ6割程度ですが、こなすべき課題が明確にわかり、なかなか便利です。

Yesが12個以上なら、プレA1と言えます。


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聞き取る力
1. ゆっくり、明瞭な話し方をしている限り、相手の言っていることがわかりますか?
[ Yes or No ]
2. ゆっくり、明瞭な話し方をしている限り、「教科書の何ページを開いてください」といった授業中の教師の指示がわかりますか? [ Yes or No ]
3. お店や医師のところでの「これは何々です」程度のことなら、聞いてわかりますか?
[ Yes or No ]

読む力
4. アルファベット(他の言語ならそれに相当する基本的な文字のグループ)のそれぞれの字を見て、「これはMである」などとわかりますか?
[ Yes or No ]
5. リストの中から自分の名前を見つけられますか? [ Yes or No ]
6. 簡単な単語なら読めますか? [ Yes or No ]
7. 簡単なセンテンスなら読めますか?  [ Yes or No ]

会話をする力
8. アルファベット(他の言語ならそれに相当する基本的な文字のグループ)のそれぞれの字を見て、口に出して言うことができますか? [ Yes or No ]
9. 相手が言ったことに応じて、「はい、いいえ」「お願いします」「ありがとうございます」「わかりません」のたぐいを言えますか? [ Yes or No ]
10. 自分の名前と住所を言えますか? [ Yes or No ]

書く力
11. 自分の名前と住所を書けますか? [ Yes or No ]
12. アルファベット(他の言語なら基本的な文字)を書けますか?
[ Yes or No ]
13. 短いセンテンスなら書き写すことができますか?
[ Yes or No ]
14. 短い基本単語を書けますか? [ Yes or No ]
15. 長い単語でもよく知っている単語なら書けますか?
[ Yes or No ]


Yes を数えて、12個以上なら、プレA1 であり、CEFのA1の入り口に来ていることになります。


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2008年4月11日

TITLE:初級レベル判定テスト(CEFRのA1相当かをチェック)

リクエストがありましたので、CEFRのA1レベルに達しているか否かを判定できる自己診断テストを作ってみました。

全部で36問ありますが、29個以上 Yes と答えることができれば、A1レベルと言えます。A1レベルというのは Eurocentres という定評のある語学学校のカナダ校が作成した平均進度のチャートを見ると、50分授業を週あたり20コマつまりだいたい160時間前後で達すべき水準とされています。(今 Part 1が15時間、Part 1-3 のフルセット45時間という音声教材 (Mandarin I-III, Pimsleur Language Program) を使って中国語を勉強していますが、これを4回繰り返してどこまで行けるのか自分で試してみるつもりです)

このテストは英語に限られるものではありません。中国語の勉強を始めたばかりなので、自分でも試してみましたが、 Yes はまだ5個にも行きません。A1以前ということです。でも、何ができるようになれば、初級に到達し、出発点に立てるのかが明確にわかるので、励みになります。

こうした「何々ができる」という形式の評価項目は can-do statement (能力記述文)と呼ばれていますが、改めて、「これができるようになりたい」と目標を立てる上でも、また、「これができるようになった」と目標到達を確認するためにも役立つ、便利な物差しであることを再認識しました。

ちなみに『即戦力がつくビジネス英会話』(DHC) の Dialog はレベルとしては B2 で、Focus は B1 です。近々、これがもっとよくイメージできるよう、B1とB2の自己診断テストを作ろうと思います。

読者の中に英語を教えている方がいらっしゃるとして、この can-do statement で示されている A1レベルと対比しながら、使われている教科書上の文法事項や言い回しを理解し、使えるようになると何ができるようになるのかをチェックされたらいかがでしょう。教わる方だって、一面的な言語知識を伝授されるより、これをやるとポスターが読めるようになるんだといった即物的イメージがあった方がやる気も出るのではないでしょうか。

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2008年4月 6日

TITLE:3分レベル診断テスト(ヨーロッパ共通参照枠準拠)

ご自分の英語力が言語運用能力の指標として国際基準となりつつある CEFR(ヨーロッパ共通参照枠)に照らしてどのあたりなのかを見る簡便な診断テストを作ってみました。

わかりやすくするため、各項目で問われる要素を (a) (b) (c) で示してありますが、それ以上の意味はありません。レベル別の評価項目中8割 YESであれば、ひとまずそのレベルにあると言えます。

評価項目の中身は Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment の common reference levels を元にしています。

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2008年3月29日

TITLE:新たな海図とコンパスで語学の海に乗り出す:CEFRとELPの話

ヨーロッパ共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages、以下 CEFRと呼びます) というものを調べれば調べるほど、これをわが国に導入するのはむずかしいのではないかと思えてきます。あとで説明するとおり、CEFRはいわばコミュニカティブアプローチによる言語教育の集大成であり、国際的にも高く評価されているものです。しかし、わが国の学校教育の実際では、学習指導要領がコミュニケーションを強調しているにかかわらず、何だかんだ言っても英文法中心の指導であり、また、教師のメンタリティーにおいても大部分の先生方がコミュニカティブ英語に対して苦手意識があります。大学の英語教員も大部分はいわゆる訳読法で育った人たちですから、コミュニカティブなんとやらには一種の偏見があるというのが私の見方です。実情がそうなのに、日本の言語教育の世界に CEFRを持ちこんでも通じないのではないかという思いを吹っ切れません。

そもそも以前の記事でも触れたとおり、某大学の英語担当教員30名前後にCEFRを知っているかと尋ねたところ、半分近くが知らないわけで、日本での知名度ないし認知度も今ひとつという感じです。

しかし、CEFRが事実上の世界基準として急速に普及していることを知っておく必要があります。第一に、GDPで世界一の経済圏であるEUの加盟諸国27カ国において言語能力を測る共通指標として使われており、現に、一定以上の英語能力を就労ビザ申請時の要件に加えたイギリスなどは、CEFRを基準にC1(上から二番目のレベル)を要求しています。第二に、民間レベルでもイギリスの著名なケンブリッジ英語検定はCEFRでのレベル分けを使って自分たちの検定のレベルを表示していますし、同様にフランス文部省認定のフランス語能力検定もCEFRのレベル分けをそのまま使っています。第三に、カナダ政府は The framework has international currency.(このフレームワークは国際的に通用している)として、文化省に相当する政府機関が自国の教育制度に取り入れようと努めています。最後に、アメリカでもミシガン大学のような言語教育で定評のあるところが、CEFRをおおいに意識して、わざわざ大学独自の英語検定をCEFRのレベルに置き換えて説明したりしています。

CEFRそれ自体、およびそれを教育現場で浸透させようという試みである European Language Portfolioについては、既に紹介記事を書いていますので、今回は自分のためのまとめを兼ねて、両者を通じての特色にスポットライトを当ててみようと思います。

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2008年2月 8日

TITLE:利用実績250万人以上という言語学習ツール:ヨーロッパ言語ポートフォリオ

アーティストであれば、自分の作品をひとまとめにしておくことで、自分でこれまで何をやってきたかをぱっとつかみ、また、スポンサーその他、対外的にはそれを見せることで自分の腕をわかってもらえます。投資家であれば、債券6割、株式3割、臨機応変に買い増すための現金1割といった形でポートフォリオを組むことで、自分の資産運用の状況を把握しつつ、次のステップを考えることができます。こうしたポートフォリオの考え方を語学に応用したものが言語ポートフォリオであり、それを学習者が使いやすいよう、きちんと体系化する一方、教育の現場を通じての普及も進められているのが European Language Portfolio (ヨーロッパ言語ポートフォリオ。以下「 ELP」と呼びます)です。

欧州評議会が41ヶ国からの言語の専門家に依頼し、30年かけて開発したヨーロッパ共通参照枠 (CEFR) をヨーロッパ内での言語教育に浸透させる仕掛けと言えます。

パイロット版は、1998年から2000年にかけ、欧州評議会加盟国の1/3に当る16ヶ国で試験的に運用され、この間、2000人近い教師と30,000人を超える学生が関わっています。その結果、正式な ELP が満たすべき条件ないし仕様が決まり、自分たちの事情に合わせて域内各国が独自に開発したELPを欧州評議会が審査し、認定するというアクレディテーションという仕組みも確立され、本格的普及へと移っています。

こうしたアクレディテーションを得ている ELP のバージョンは、84にもなり、2006年末現在、その利用者数は250万人を超えています。250万という数字を見てもぴんと来なかったので、何か対比できるようなデータはないだろうかとちょっと調べたら、わが国の大学生の数、約280万人に近いことがわかりました。全国の大学生が全員、英語その他の外国語学習の進捗状況を記録しては改善を図っているような話と言えます。

一方、アメリカでも言語ポートフォリオの考え方は支持され、LinguaFolioという名前で、バージニア、ノースカロライナ、サウスカロライナ、ケンタッキー、そして、ジョージアの5州で言語教育に用いられています。

今回は、このELPを取り上げ、それがどういうもので、言語を学習しているわれわれにどういうメリットがあるのかを見て行きます。

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2008年1月28日

TITLE:(続)ひとまず通じるレベルとしてのCEFR-B1

CEFRをよりどころとしているALTEのガイドラインに照らしてB1の人がどの程度のことができるとされているかは、以前、使える英語とは何かというシリーズで、主として仕事場でのやりとりに焦点を合わせて取り上げたことがあります。そこで、今回の記事では、海外旅行での会話能力を中心に考えてみました。

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2008年1月26日

TITLE:ひとまず通じるレベルとしてのCEFR-B1の研究

EU加盟国の政府、教育関係者、語学検定実施団体はCEFR(ヨーロッパ共通参照枠)を言語運用能力の共通尺度として使っていますが、長期滞在ビザに必要な語学力で見たとおり、CEFRのB1が「ひとまず通じるレベル」として、一つの水準と目されています。このことは、 CEFR 自体、Bより下位のAレベルをbasic user と呼び、上位のCレベルを proficient user と呼ぶ一方で、Bレベルを independent user と称していることにも示されています。

B1レベルというのは、その言葉が使われている外国に行っても1人で食事を注文したり、交通機関を利用できるという具合に、何とか独力でコミュニケーションが取れ、また、その国の人と自国で出会うような場合も、話題が平凡で定型的なやりとりで済むものである限り、いちおう会話らしきものをこなせる程度とされています。

ただ、これだけでは具体的な姿が浮かんできませんから、もう少し掘り下げたくなります。そこで、CEFRそのもの(Cambridge University Pressから出ている欧州評議会編 Common Framework of Reference for Languages)と、レベル分けをCEFRの6レベルに合せて24種の語学検定を実施しているALTE(Association of Language Testers in Europe 。ヨーロッパの6つの著名な語学検定実施機関の連合組織)が公表しているガイドラインを元に、どのような人を指してB1レベルの人と言うのかを浮き彫りにしたいと思います。

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2008年1月24日

TITLE:長期滞在ビザに必要な語学力

2008年1月15日付朝日新聞に「外国人滞在、条件に日本語能力 政府検討、管理強化にも」という見出しの記事が載っていました。政府が「日本に長期滞在する外国人の入国と在留の条件として、日本語能力を重視する方向で検討を始めた」で始まるこの記事、すでに政府が06年12月、日本語教育の充実や、「在留期間更新等におけるインセンティブ」として日本語能力の向上を盛り込んだ「生活者としての外国人に関する総合的対応策」をまとめていることに触れた上、高村外相の「日本で生活する外国人にとって日本語ができることが生活の質を高めるために大切であり、日本社会のためにも必要である」というコメントを紹介し、「ただ、今後の議論によっては、日本語の能力によって査証(ビザ)の取得や更新などが制限される可能性がある」と結んでいます。

ちょっと前の朝日新聞に載っていましたが、日本だというのに、日本語を解さない、あるいは習得しようともしない外国人の、何と言うか一種の部分社会があちこちに登場しており、日本語を話さない人々を相手にしなければならない学校や行政にとって大きな負担になっています。

実例をちょっと挙げておきますと、こういう状況になっています。

√ 母子手帳などは、英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語版が用意されている

√ 外国人労働者との間でのトラブルに備えての外国人労働相談窓口では、地域にもよるが、英語、中国語、ハングル、スペイン語、ポルトガル語が必要になっている

√ 神奈川県では、外国籍県民のため、8言語(中国語、ハングル、英語、ポルトガル語、タイ語、ベトナム語、カンボジア語、ドイツ語)でニュースレターを発行している

√ 自治体ごとの外国籍住民の割合は全国平均では1.5%程度だが、全国でもっとも高い群馬県大泉町になると、16%にもなる。(この地域には日系ブラジル人が多いので、交通のルールやごみ出しのルールなどをポルトガル語で配布しています)

√ 日本語ができず補習の必要な外国人生徒が全国の公立小学校(約22,000校)のうち7割、公立中学校(約15,000校)のうち3割にいる

√ こうした日本語のできない小中学生の数は全国で約21000人。その母語は54言語にわたっているが、母語別の人数で見ると、ポルトガル語がおよそ9,000、中国語が4,000、スペイン語が3,000で、この三か国語を話す生徒が外国人生徒の約7割を占めている

√ 新宿区立大久保小学校のように、韓国、中国、フィリピンなど外国人の児童が、全校児童(約180人)の半数を超えるといった極端な例が増加傾向にある

法務省のチャートを見ると一目瞭然ですが、外国人数が右肩上がりであるのに対して、わが国の総人口は長期低落傾向を示しています。この図では日本の総人口は1億2,000万強ですが、あと40年もすれば1億を割り込むと推計されていますから、外国人の占める相対的割合はどんどん上がってくるわけで、入国・在留の条件として一定の日本語力を要求するのはごもっとも、いや、遅きに失していると感じます。

他言語、他文化との共生もいいことには違いません。しかし、それも限度もので、自国内に「外国」を作られるのを見過ごしているようでは、軒を貸して母屋を取られることにもなり、国家としての体裁を失ってしまいます。ですから長期滞在希望者に対して、自分たちと同じ言葉を話すようにしてくれ、文化を理解して溶け込んでくれと求めるのはごく自然な話です。事実、ヨーロッパの諸国はとっくに自国語を話す能力を移住者に求めています。

そこで、今回は、以上のような日本での状況を踏まえて、ヨーロッパの主要国が外国から移り住もうという人々にどういった条件を求めているかをざっと眺めてみます。

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2007年12月28日

TITLE:(続)CEFR(ヨーロッパ共通参照枠)とは何か?

★ 言語運用能力の指標としてのCEFR

言語モデルとしてのCEFRと並ぶもう一つの柱は、言語運用能力 (proficiency) の指標としてのCEFRであり、初級、中級、上級に対応する Basic User (A)、Independent User (B)、そして Proficient User (C) を細分する格好で、A1、A2、B1、B2、C1、C2 の6つのレベルを示した上、各レベルにつき、話す、聞く、読む、書くの4技能にわたって、どの程度のことができなければならないのかが示されています。学習者の立場からすれば、到達度の目標を示すと同時にそのレベルに達しているかを判定するための指標を提供しているのがこの6レベルのスケールです。

CEFRの特色であるとともに、他の運用能力指標のあり方に大きな影響を与えたのは、こういったレベルの内容が Can Do statement (能力記述文)で示されていることです。例えば、英内務省がイギリスで弁護士として、あるいは会社役員として働こうという人が就労ビザを申請するに当って資格要件として求めている英語力のC1の内容はこうです。

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2007年12月27日

TITLE:CEFR(ヨーロッパ共通参照枠)とは何か

前回、実社会ないし国際ビジネスで必要とされる英語力はCEFRで言えばC1レベルだと申し上げましたが、どうもこのCEFRというのが一般にはあまり知られていないというのが私の印象です。世界最大の経済圏である EUが域内での外国語学習や能力判定に関してはこのCEFRを基準にすると決めているのにです。加えて、どうかすると、この共通基盤の一部でしかない能力判定のための6レベル(初級・中級・上級に相当するA、B、Cが各々2レベルに分けられている6段階評価)ばかりが独り歩きし、引き合いに出されている感じもあります。そこで、自分のためのメモという趣旨を含めて、そもそもCEFRとは何ぞやということをまとめてみました。

本題に入る前に、ここでCEFRがどの程度普及し、その存在感を高めているかを見ておきますと、まず、フランスでは,2003年度より,高校で教えられている英語,ドイツ語、アラビア語、中国語等の9言語につきCEFRに準拠すべきことが決められています。また、ヨーロッパの主要国は、長期滞在ビザの申請者に対して自国語を話す能力を要求する場合に、ドイツはB1以上、フランスはA1.1以上という具合にCEFRを基準にしています。一方、フランスやドイツは既に外国語としてフランス語やドイツ語を学ぶ人のために、CEFRの言語モデルを土台に、フランス語やドイツ語がどのようなものであるかを示し、それを学んだと言えるためにはどれだけのことをクリアすべきかという一種の仕様書を発表しています。わが国も海外での日本語普及を図るべく、日本語スタンダードという構想を既に打ち出しています。この点、英語が出遅れていますが、現在、ケンブリッジ大学を中心に、English Profile を取りまとめる作業が進められています。このようにCEFRは、世界最大の経済圏であるEUにおいて言語運用能力の共通規格として通用しているわけで、もはや知らないでは済まない話になっています。

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2007年12月24日

TITLE:実社会が求める英語力のレベルはどの程度か?

先日、明海大学で行われたセミナーで、寺内一先生という高千穂商科大学の先生が国際業務に携わっている現役のビジネスパースン、7,354人を対象にしたアンケート調査の中間発表をされ、おおーっと思いました。全国紙のアンケート調査で大体2,000人規模ですから、すごい規模です。しかも、TOEIC800点以上の人がおよそ3割、700点以上で区切れば5割を占めるという母集団です。そういった人たちが「実務で必要な英語力はどのぐらいか」という問いに対して、ヨーロッパ共通参照枠 (Common European Framework of Reference、以下 CEFRと呼びます)上、できれば、C1、少なくとも、そのすぐ下のB2は必要だと回答しているのです。

そこで、今回は、会場で聞きかじった程度ながら、この7,000人アンケートの調査結果を念頭に、仕事で必要な英語力とはどのぐらいなのか、世界最大の経済圏 (EU) で通用している外国語運用能力のデファクトスタンダードに引き直すとどうなるのか、それに対してわが国の企業の意識、あるいは大学で英語を教えている人たちの意識はどうなのかをちょっと考えてみました。

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2007年11月 6日

TITLE:(後編)イギリスで英語力が就労ビザの取得条件に

前回、就労ビザの条件になるB2レベルの英語がそのすぐ下のレベルであるB1と比べた場合、effective argument, holding your own in social discourse, language awareness という三つの要素が加わり、その分、難度が高くなると説明しましたが、今回は、もう少し、このB2レベルがどういうものかを確認してから、高度技能者(社内の異動に伴いイギリス勤務となる者、 人材不足の職種 、 役員ポスト、 直接投資を目的とする投資家)に適用されるC1レベルの英語がどの程度のものかを見ていきます。

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2007年11月 3日

TITLE:(前編)イギリスで英語力が就労ビザの取得条件に

来年から現地での勤務を目的にイギリスに入国しようという場合、高度の英語力のあることを証明することが求められます。イギリス内務省の方針としては、IELTS[注]で5.5以上のレベルを求める予定とのこと。また「高度技能移民」に対してはより厳しく、6.5以上は求めたいとしています。

EU域内の各国が共通して用いている言語運用能力判定基準であるヨーロッパ共通参照枠に引き直して言うと、前者がB2、後者がすぐ上のレベルであるC1です。(IELTSとヨーロッパ共通参照枠との対応関係についてはブリティッシュカウンシルが対照表を公表しています)以前にこのヨーロッパ共通参照枠をご紹介したこともありますし、ちょうどいい機会なので、B2がどの程度のレベルなのか、また、C1がB2との比較でどのぐらい「高度」なのかを見ておきたいと思います。

[注 ケンブリッジ大学、ブリティッシュ・カウンシル、それにオーストラリアの専門団体の三者が共同運営しているIELTSは、15分のインタビューを含め4技能のすべてを3時間近くかけてテストするものです。評価は単語の羅列しかできない1からネイティブ並みの9までという9段階評価です。オーストラリアは学生ビザの取得要件にしていますし(オーストラリアではTOEFLは通用しません)、カナダは移民を希望する人にスコアで7(時折妙な表現があるけれど、概ね複雑な議論をこなせるレベル)以上を条件として課しています。また、アメリカもTOEFL一辺倒というわけでなく、全米で1000を超える教育機関がIELTSによる評価に基づいて入学の可否を判定しており、例えばデューク大学は入学には7以上のスコアが必要としています。詳しくは、こちらのサイトを御覧ください]

この問題は、前回取り上げた「英語力とは何か」とも重なります。英語力とは何かに答えて、メッセージを発信できる力だとか、受信と理解の両方が大事だ、コミュニケートできる力だなどという程度の認識では、太刀打ちできないことがよくわかるからです。何しろ、イギリス政府の頭にある英語運用能力判定法では、受信にしろ発信にしろ、きめ細かく分類されており、単に発信できますという程度では通用しません。これで文科省が言う「大学を出たら英語で仕事ができるレベル」(「英語が使える日本人」育成行動計画の指標)などを持ち出したりしたら、ますます訳がわからなくなります。

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2007年1月14日

TITLE:(下)使える英語とは何か

じつは、Threshold のレベルでは、スピーキングとリスニングを最優先せよということで、ライティングとリーディングは二の次とされていますが、それでも、ここで示される程度の力は、要求されています。この程度のことはたしなんでおけということなのでしょう。

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2007年1月13日

TITLE:(中)使える英語とは何か

前回に続いて、レベルの上下を決める決め手となる部分に下線を引きながら、「使える英語」の目安であるヨーロッパ共通参照枠 (CEF) の B1 レベルをクリアするために、どの程度の条件を満たす必要があるのかを見て行きます。

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2007年1月11日

TITLE:(上)使える英語とは何か

「使える英語」という言葉をよく見聞きしますが、何を指して「使える」と言っているのかを明確にしたものは見たことがありません。そこで、自分なりに考えるに、コミュニケーションが行える程度の英語ということなのでしょう。すると今度は、「コミュニケーションを行う」とは何かが問題になりますが、これについては、欧州評議会 (Council of Europe) が Common European Framework of Reference for Languages (CEFまたはCEFRと呼ばれおり、「ヨーロッパ共通参照枠と訳されています)という主要言語に共通して当てはめることのできる物差しを打ち出しているので、これを見ると、「人の助けを借りずに、外国から来た人とコミュニケーションをし、かつ、自分が外国に行ったおりに単独行動ができる程度の外国語能力」をひとまず目標にせよとしています。

道を尋ねる、相手の意見を聞くといった言語活動を独力でこなせる程度の運用能力をつけて、ひとまず一人前という発想で、このレベルのことを英語で Threshold (敷居、境目)、フランス語で Niveau Seuil と言っています。

なぜ「敷居」なのかと言うと、ここをまたいで次のステップに行くと、ひとまず一人前というレベルから、文句なく外国語を使える人、いわば立派な使い手になるからです。一大転換です。哲学者のヴィトゲンシュタインは、言葉の限界がその人の世界の限界を画している (The limits of my language are the limits of my universe.)と言っていますが、この伝で行けば、Threshold を越すと、その人の住む世界の限界が一気に広がる感じです。(ちなみに、Threshold の一歩手前は Waystage 、一歩先は Vantage と名付けられています)

ところで、ヨーロッパを拠点とするALTEという組織があります。正式には、Association of Language Testers in Europe と言い、ヨーロッパの主要言語(現在12カ国)につき、その運用能力を評価する際の共通の物差し(ALTE Scale)を定め、各国で実施されている様々な検定試験の成績どうしを客観的に比較できる仕組みを作っています。

各国の主な検定実施団体がそろって メンバーとなっており、わが国でも知られているところを挙げると、アリアンスフランセーズ、ゲーテ協会、ケンブリッジ検定など、有名どころが顔をそろえています。

単に大手が顔をそろえているというだけでなく、ALTEのスケールは、上で触れたヨーロッパ共通参照枠 (CEF) との連携が図られている点にこそ最大の意味があり、Breakthrough から始まり、Level 5 を頂点とするスケールは、A1から始まり、C2を頂点とする CEF のスケールと完全に対応しています。Threshold は、ヨーロッパ共通参照枠では B1 であり、ALTE では、Level 2 です。

そして、メンバーが実施している検定ごとに、この検定での○○レベルは ALTE の○○に相当という格好で、 一覧表が用意されています。便利なしくみです。

★ 主要語学検定やCEFとの対応

例えばケンブリッジ英検の例で言えば、英語圏の大学が英語力の証明書として認めるレベルである Certificate of Proficiency in English (CPE) と Certificate of Advanced English (CAE) は各々 ALTE のスケールでは、Level 5 と Level 4 になります。

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2007年1月 2日

TITLE:(完)語学力の自己査定:イギリスのLanguages LadderとカナダのCanadian Language Benchmarks

前回、ヨーロッパでの共通の指標である Common European Framework of Reference for Languages (CEFR) において、自力でコミュニケーションをこなせるレベルがB1であり、そのレベルに達していれば、その言語、例えば英語なら、まがりなりにも「一人前の英語使い」と認められることを見ました。

今回は、CEFR との整合性も意識しているイギリス政府の Languages Ladder で、上記B1がどのようなものとして形容されているのかを見た上、似たような尺度であるカナダ政府の指標を取りあげます。カナダのものは、具体例があり、加えて、そのレベルに到達するための学習ガイドラインまで用意されており、実に親切です。

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2006年12月29日

TITLE:(続)語学力の自己査定:Common European Framework of Reference for Languages

前回、自分の外国語能力証明書に当たる Language Passport (ELP) に自己査定で自分の運用能力を記載すると説明しました。この自己査定に際しての物差しを提供するのが、Common European Framework of Reference for Languages(ヨーロッパ共通参照枠。以下、CEFRと呼びます)です。

ELPを使って各自が自分の言語運用能力につき、リーディングはこのぐらいで、スピーキングはあのぐらいと技能別にレベルを表示したところで、国によって言語教育のシステムや語学検定なども違いますから、そもそもの評価基準がバラバラでは、ギリシアでは上級クラスの使い手とされていても、イタリアでは中級クラスでしかないといったちぐはぐな結果を招いてしまいます。そこで、1991年に、ヨーロッパのどこに行っても通用する共通の規格ないし基準を決めようということになり、2001年にCEFRの英語版とフランス語版が発表され、その後日本語版を含め、およそ20カ国語に訳されるほどの普及ぶりを見せています。

CEFR上の運用能力ランキングは簡単に言えば、言語のユーザーを大きく三つに、高度の運用能力を備えているユーザー(要するに「松」です)、自力でコミュニケーションをこなせるユーザー(「竹」です)、そして、基礎レベルのユーザー(「梅」)に分け、それぞれを「上」と「並み」に細分しています。

これだけだと、ただの上級、中級、初級と何ら変わりがないようですが、特色は、上の三区分の場合、最初に、「外国語での日常生活に必要最小限な言語運用能力とはどの程度のものを言うのか」「その言語を使って、どの程度のことができれば、コミュニケーション上、一人前扱いできるのか」という問題意識に立って、Threshold レベル(CEFRではBという区分です)というものの内容を確定してから、次いで、それの前段階はどうなのか、より上のレベルはどうなのかとプロジェクトを進めたことです。

そこで、この記事においても主として Threshold レベルに到達しており、一人前扱いしてもらえるためにはどのぐらい出来なければならないのかという見地から見ていこうと思います。

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2006年12月28日

TITLE:語学力の自己査定:Language Passport という仕組み

わが国の場合、語学は一種の習い事とされているのか、「英語が使える」という概念が漠然としています。不思議なことに、読み、書き、話し、聴くという基本的スキルのそれぞれについてどの程度の水準をクリアしているべきかという点につき、きめこまかな基準があるわけではなく、英語を教える方と学ぶ方のいずれを見ても共通の認識がありません。

あるのはTOEIC何点、英検何級程度の大雑把な判定法で、これとて、最高レベルのはずなのに電話での応対すら満足にできない人がいくらでもいますから、一体何を測定しているのかと言いたくなります。また、TOEICの場合、Listening が何点、Reading が何点という形式でスコアが表示されると承知していますが、点差 10点をスキルの違いに引き直した場合に、何ができ、あるいは何ができないのかと受験者に尋ねたところでこれに答えられる人はまずいません。(もともとそういうテストではないのですから、当たり前のことではあります。直接にスキルを測定するのではなく、受験者の得点を以前に受けた母集団と対比しての位置づけとして表すテストの限界です)

結局、「誰々さんは英語ができる」「英語の達人だ」程度の話でみなさん、けっこう納得しているようです。習い事よろしく、TOEIC何点以上とか、英語圏の大学に留学したといったことがそのまま「免許皆伝の腕前だ」と認知される感じなのでしょう。

これはお役所も感覚が同じようで、たとえば文科省が2003年に大々的にぶちあげた「英語が使える日本人」の育成のための行動計画なるものを見ても、その目標は、中学卒業時までに「挨拶や応対、身近な暮らしに関わる話題などについて平易なコミュニケーションができる」レベル、高校卒業時までに「日常的な話題について通常のコミュニケーションができる」レベルをクリアした上、「大学を卒業したら仕事で英語が使える」レベルに達しているべきだとしています。

ことのついでに言えば、先日、取りあげた「英語より国語を先に勉強させろ」という人々も同じで、わが国では、なぜか他ではきちんと実証的にことを論ずるような人々も語学論議になると自分だけの思い込みに基づいた観念的な話に走る傾向があります。

これでいいのでしょうか。

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